“人間とは何か”を彫る ── 金巻芳俊の現在地を拡張する個展「創発エンティティ」が渋谷で開催

複数の顔、重なり合う感情、揺らぎ続ける人格 ── 。木彫というクラシカルな技法を用いながら、現代人の内面そのものを彫刻化してきたアーティスト、金巻芳俊。その最新個展「創発エンティティ」が、6月12日よりPARCO MUSEUM TOKYOにて開催される。

本展は、単なる作品展示ではない。空間、光、映像、そして鑑賞者との関係性を通じて、“存在”そのものを浮かび上がらせる体験型インスタレーションへと接続していく。

多面多臂像が映し出す、現代人のアンビバレンス

金巻芳俊の作品を象徴するのが、一体の身体に複数の顔や手足が折り重なる“多面多臂像”だ。そこにあるのは、相反する感情や態度が同居する「アンビバレンス」の視覚化。怒りと静けさ、不安と恍惚、孤独と接続 ── 現代を生きる人間の複雑な精神構造が、精緻な木彫によって立ち上がる。

今回の展示タイトルにもなっている“創発(Emergence)”とは、個々の要素が関係性の中で新たな意味や存在を生み出す現象を指す。本展では作品単体ではなく、配置、距離、陰影、鑑賞者の視線までも含めて“もう一つの存在”が生成されていく。

PARCOが拡張する、彫刻とカルチャーの境界線

会場となるPARCO MUSEUM TOKYOでは、近作群に加え、本展のために制作されたオリジナルアニメーションも展開。
アニメーションディレクションはyooolk、空間演出には三宅晴輝が参加し、彫刻を静止物ではなく“変化し続ける気配”として再提示する。

PARCOらしい都市的感覚と、金巻作品が持つ有機的な生命感。その融合によって、会場そのものが巨大な精神構造体のような空間へと変貌する。

山田杏奈をモデルにした新作《明鏡プリズム》

本展のメインビジュアルにも採用された《明鏡プリズム》は、俳優・山田杏奈をモデルに制作された作品。

透明感と危うさ、静謐さと激情。その両方を内包する彼女の存在が、金巻の脳内で幾重にも屈折し、多層人格的な彫刻像として再構築されている。

単なる肖像ではない。それは“見る側の感情”までも映し返すプリズムだ。

現代木彫の最前線が交差するトークイベント

会期中には、クリエイター川田十夢との対談イベントをはじめ、三沢厚彦、棚田康司を迎えた鼎談も開催。

現在の日本木彫シーンを牽引する作家たちが、“彫刻とは何か”“存在をどう立ち上げるか”を語り合う貴重な機会となる。

木彫を超え、“存在”へ

金巻芳俊の作品は、単なる技巧の誇示では終わらない。そこにあるのは、人間そのものへの問いだ。

情報と感情が過剰に交錯する時代において、私たちは本当に“ひとつの人格”として存在しているのか。

「創発エンティティ」は、その不安定で流動的な自己像を、圧倒的な木彫技術と空間演出によって可視化する展覧会になるだろう。

【展覧会概要​】

タイトル:金巻芳俊 創発エンティティ

会場:PARCO MUSEUM TOKYO (東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 4F)

会期:2026年6月12日(金)~6月29日(月)

開場時間:11:00-21:00 ※入場は閉場の30分前まで ※最終日18時閉場

入場無料

主催:PARCO

協力:FUMA Contemporary Tokyo|BUNKYO ART

アートディレクション:三宅晴輝(Perfect Things LLC)

アニメーションディレクション:yooolk

広報協力:YN Associates

公式サイト:https://art.parco.jp/museumtokyo/detail/?id=1922

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