記憶は思い返すたびに違う形になる ── glumroll、EP『PrettyNabi』から「wonder」のMVを公開

「美しいと同時に少し気味が悪く、自分を慰めながらも付きまとい続ける記憶について語りたかった」 ── ソウルを拠点に活動するアーティスト/プロデューサー/ソングライター、glumrollが、6月25日リリースの1st EP『PrettyNabi』から2曲目のリード曲「wonder」のミュージックビデオを8月21日に公開した。シューゲイザーとポストロックを軸に、静かに始まり荒々しく変貌していくこの曲は、捉えることのできない誰かへの記憶と、その記憶が少しずつ変形していく感覚を音にした作品だ。

存在しない誰かを、夏の風景の中で探し続ける

「wonder」のMVは、いない誰かを待ち、探し彷徨う夏の一日を描いている。映像の中のglumrollは、その人がどこかに確かに存在するかのように、一人で夏の風景を歩き回る。現実の場所と断片的なイメージが交差し、実際の記憶と夢と想像の境界が次第に曖昧になっていく。

しかし、楽曲が最も大きく爆発する直前、相手を待ち続けていたglumrollはその人が最初からそこにいなかったという事実に気づく。そこを境に、映像は待ち焦がれから苦い受容へと移動する。しかし、存在しないと気づくことと、記憶から完全に抜け出すことは別のことだ ── その痛みが、幻想的な夏の映像と後半の荒々しいサウンドの対比の中に静かに埋め込まれている。

指の隙間からこぼれ落ちる砂のように

楽曲そのものも、その感情の構造を音で再現している。かすかな記憶をたどるように静かに始まるが、ギターとエレクトロニックサウンドが絡み合うにつれて、次第に歪んで不規則な形へと変化していく。後半部では音色が不安定に拡張し、繋ぎ止めていた感情が一気に散らばる瞬間が訪れ ── 手で掴もうとするほど指の隙間からこぼれ落ちる砂のように。

楽曲の中の「君」の正体は意図的に曖昧なままだ。過ぎ去った恋人かもしれないし、もはや存在しない人、あるいは記憶の中で作られた想像上の存在かもしれない。その曖昧さが、誰もが持つ「思い返すたびに違う形になる記憶」への入口を広く開いている。

蝶のように変化し続ける、EP『PrettyNabi』の世界

「wonder」は、全5曲で構成されるEP『PrettyNabi』の到達点のひとつだ。タイトルの「Nabi(ナビ)」は韓国語で蝶を意味し、絶えず変化し続ける存在の象徴として機能している。Hyperpop、シューゲイザー、Dream Pop、Experimental Popを縦横に行き来しながら、光と影、希望と不安、現実と夢という相反する感情が一人の人間の中に共存するときに初めて変化が起きるという発想が全体を貫く。

韓国の伝承童謡「ナビヤ ナビヤ」を現代的なPop ElectronicaとDream Popとして再解釈した「pretty nabi」、Hyperpopとkorean jersey clubを軸に「プラスチックのような自分」の拒絶を歌う「real2feel」 ── それぞれが異なるジャンルと感情の断面を持ちながら、「変化とは一方を捨てることではなく、あらゆる姿を抱きしめる過程だ」というglumrollの言葉に向かって収束していく。

韓国的なルーツと複数の国での生活体験が滲み出る没入的なサウンドスケープは、Yeule、Jane Remover、Mid-Air Thiefあたりの感触に近い。しかし、いずれとも違う。それがglumrollだ。

EP『PrettyNabi』
2026年6月25日リリース(全5曲)
Spotify、Apple Music、Bandcampほか各プラットフォームにて配信中

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