
2013年にニルス・フラームと矢野顕子が同じステージに立った日から、このフェスティバルは世界地図を塗り替え続けてきた。「ジャンルで括らない」というただそのことだけを原則に、ブラジル、アルゼンチン、ポーランド、イギリス、そして日本から6組の演者を迎える第7回「ザ・ピアノエラ」が、2026年12月5日(土)・6日(日)、めぐろパーシモンホール大ホールにて開催される。
5日 ── ロウレイロ新トリオで世界初演、ベエウサエルトはソロ、中村佳穂が初登場
Day1最大のトピックは、ブラジルのアントニオ・ロウレイロが本人の熱望によって実現させた新トリオだ。石若駿(Dr)、マーティ・ホロベック(B)を迎えた「アントニオ・ロウレイロ・ニュートリオ」は、ロウレイロの現在地と未来を体現する世界初演のステージを披露する。7年ぶりとなるピアノエラへの帰還で、今回こそがリアルタイムのロウレイロを目撃する機会となる。
アルゼンチンのアンドレス・ベエウサエルトは4年ぶり3度目の登場。過去2回はフルート奏者やボーカリストとのデュオだったが、今回は初のピアノソロ。日本ではほとんど聴く機会のなかった彼の、美しく情景を映し出すような、歌心と情熱に溢れたソロの世界がたっぷりと披露される。
そして中村佳穂がピアノエラに初登場する。ブラジルやアルゼンチンの音楽への深い愛を公言し、ロウレイロやベエウサエルトの大ファンでもある彼女が、このラインナップの中でどんな音楽を鳴らすか。ボーカリストとしてもピアニストとしても唯一無二の存在感を持つ彼女のパフォーマンスは、この日最大のサプライズになりうる。
6日 ── ポーランドのインプロヴァイザー、宇宙的アンビエント、香川から世界へ
Day2はスワヴェク・ヤスクウケ(ポーランド)から幕を開ける。ジャズ、モダン・コンポジション、ポスト・クラシカルを横断する才能溢れるピアニストであり、“インプロヴァイザー”を自称する彼は、会場・環境・ピアノ・聴衆、その場のすべての情報を汲み取りながら瞬時に最高の音楽へと昇華させる。前回ピアノエラとPOLISH PIANISM Concertの両方で異なるアプローチを見せた彼が、今回さらに深化した音楽と演奏を届ける。
UKブライトンのThe Vernon Springがピアノエラに初登場する。17歳で故エイミー・ワインハウスのツアー・ピアニストに抜擢されたサム・ベステが2019年にスタートさせたソロ・プロジェクトは、ジャズのバックグラウンドと現代的なエレクトロニック・プロダクションを融合させ、ジャズでもポスト・クラシカルでもない幽玄で繊細な音楽世界を確立。デビュー盤はロングセラーを記録し、マーヴィン・ゲイの名作を独自に解釈したアルバムも高い評価を得た。そのミュートピアノが紡ぐ宇宙的なサウンドスケープが、ついにこの場に降り立つ。
締めくくりは橋本秀幸(初登場)。Spotifyで5曲が1千万回超の再生数を誇り、世界で最も聴かれている日本人ピアニストとも称される香川出身のアーティスト。ドイツ・ベルリンのXXIM Records(Sony Masterworks)からリリースした作品が世界に広がる彼が、今回はピアノソロに加えてバイオリン(Yuri Kawai)、チェロ(Robin Dupuy)を迎えたアンサンブル編成でのパフォーマンスも披露する。






2013年から続く、世界地図を塗り替えるフェスティバルの系譜
第1回(2013年)のニルス・フラームと矢野顕子を起点に、ボボ・ステンソン・トリオ、テリー・ライリー、バルモレイ、原摩利彦——過去6回の顔ぶれを振り返るだけで、ピアノエラが世界のピアノ音楽の地図をいかに広く深く描いてきたかが伝わってくる。ハニャ・ラニ、カルロス・アギーレ、Cicada ── 今やインターネット越しに世界中で認知されるアーティストたちの多くが、日本でその生の音楽に触れられた最初の場所がピアノエラだった。
メインビジュアルは第1回から一貫して山口洋佑が担当。今回は年始に訪れたアルジェリアのタッシリ・ナジェールの先史壁画からインスピレーションを受けた作品で、森の白い点が雨にも雪にも星にも見えるその絵は、ピアノエラのリミットレスな精神を余すところなく体現している。
ザ・ピアノエラ 2026
2026年12月5日(土)・6日(日) 15:00開場 / 16:00開演
会場:めぐろパーシモンホール 大ホール
チケット:2日通し券(指定席)¥18,000 / 単日券(指定席)¥9,500 / U25割(指定席)¥7,500 / 親子券(自由席)¥9,500
チケット一般発売:8月22日(土)10:00〜
イープラス:https://eplus.jp/pianoera2026
