
「踊ることは、人を自由にする」。
そんなシンプルな信念を、そのままサウンドへ落とし込んできたオーストラリア出身のプロデューサー/シンガー、Pretty Girlが、およそ1年の活動休止を経て新作『Body Step EP』を発表した。自身のレーベル〈earthside〉からリリースされる本作は、ダンスフロアの高揚と、その帰り道に訪れる静かな余韻を結ぶ、彼女らしいエモーショナルなハウス・ミュージックの現在形だ。
「踊る理由」を問い続けた1年間
『Body Step EP』は、タイトル曲「Body Step」と「Satisfy」の2曲を収録。どちらもPretty Girl自身のボーカルをフィーチャーし、彼女がこれまで磨き上げてきたサウンドへと回帰している。
「Body Step」は、ロンドン・トッテナムのスタジオでヴィンテージ・シンセサイザー Prophet-5を使って制作をスタート。その後、ひと夏にわたって世界各地のダンスフロアで過ごした時間や記憶を重ねながら、少しずつ完成へと近づいていったという。
彼女はこう語る。
「ダンスミュージックには、人をなぜ踊らせるのか、その時どんな感情が生まれるのかという、とても深い魅力があります。踊っているとき、私は自由になれる。そして言葉では説明できない何かとつながっている感覚になる。この曲は、その喜びそのもののために作りました。」
沈黙は、より深いサウンドへ潜るためだった
2025年から約1年間、Pretty Girlはあえて作品を発表せず、自分自身と向き合う時間を選んだ。
「自分は本当に何を作りたいのか。」
その問いに答えられなくなったことが、活動休止の理由だったという。
しかし、その時間は決して空白ではなかった。制作から距離を置くことで、自分の音楽をもう一度純粋に楽しめるようになり、現在の自分が心から誇れる作品へと辿り着いた。
『Body Step EP』には、そうした内面的な変化が静かに刻み込まれている。
メルボルンのクラブから世界のフェスティバルへ
本名Emilia Predebonとして活動するPretty Girlは、ここ数年でエレクトロニック・ミュージック・シーンを代表する新世代アーティストへと成長を遂げた。
2023年にはResident Advisorから「未来のスター」と評され、その後はBoiler Roomでのパフォーマンスが話題を呼び、Coachellaへの出演も実現。さらにBonoboとのツアーや、RomyとFred again..による「Strong」のリミックス制作など、国際的なキャリアを一気に広げていった。
今年6月には、世界中のトップDJが登場することで知られるResident Advisorの人気シリーズ「RA Podcast」に90分のミックスを提供。そして新たにRed Light Managementとのマネージメント契約も発表し、新章の幕開けを迎えている。
クラブと日常、その境界線を曖昧にするサウンド
シカゴ・ハウスを土台に、プログレッシブ・ハウスの浮遊感、トランス由来の陶酔感、UKガラージのベースライン、そして繊細なセルフボーカルを重ねるPretty Girl。
その音楽はピークタイムのクラブだけでは終わらない。夜明け前の帰り道、イヤホン越しに街を歩く時間まで含めて、一つの物語として機能する。
現在デビュー・アルバムの制作も進行中。ライブセットもさらに進化を続ける彼女は、いま最も目が離せないエレクトロニック・アーティストの一人と言っていいだろう。
『Body Step EP』は、1年間の沈黙を経たからこそ辿り着いた、新たな出発点である。踊ることの歓びと、その先にある感情までを優しく照らす2曲は、2026年のダンスミュージック・シーンを象徴する一枚になりそうだ。

Artist: Pretty Girl
Title: Body Step EP
Label: earthside
Release date: July 08, 2026
