30年間、毎日バッハを弾いてきた男の日記 ── ヴィキングル・オラフソン、アイスランドの自宅スタジオで録音した『CONTINUUM II』を11月6日に発表

©Ari Magg

グランド・ピアノとアップライト・ピアノ、2台の楽器が、同じ《G線上のアリア》を全く異なる表情で歌う。アイスランドのピアニスト、ヴィキングル・オラフソンが、バッハとの終わることのない対話の記録『CONTINUUM II ~ヴィキングル・プレイズ・バッハ』を11月6日(金)にドイツ・グラモフォンよりリリースする。2024年の『CONTINUUM』に続く第2弾となる本作に先駆け、本日9月11日よりBWV1056の「Largo」が先行配信された。

自宅の「ナットシェル」で生まれた、最も親密な録音

本作最大のトピックのひとつが、録音環境だ。アイスランドの自宅に新たに設けたホーム・スタジオ「The Nutshell(殻の中)」で全編を録音した初のアルバムとなる。レコーディング・スタジオの整然とした空気ではなく、弾き込まれた楽器と日常の気配が同居するその場所から、バッハへの最も個人的な向き合い方が生まれた。グランド・ピアノとアップライト・ピアノを使い分け、それぞれの楽器が持つ固有の響きの違いを意図的に刻んでいる。

「アップライト・ピアノの繊細で儚い響きが気に入っています。ピアノという楽器を通して、作品が新たな姿を現したように感じられます」 ── その言葉通り、『CONTINUUM II』には機材スペックとは別の次元の音が収められている。

《G線上のアリア》を、2つの声で聴く

アルバムの中核のひとつが、管弦楽組曲第3番の「アリア」 ── いわゆる《G線上のアリア》のピアノ編曲だ。ヴィキングル自身が編曲したこの作品が、グランド・ピアノ版(Track 04)とアップライト・ピアノ版(Track 18)の両方で収録される。同じ楽曲、同じ演奏者、しかし楽器が変わると音楽の何かが決定的に変わる——その実験を18曲の中に組み込んだ構成は、このアルバムが単なる選集でなく、ひとつの問いかけであることを示している。

コラールへの傾倒 ── 声の音楽をピアノが語るとき

もうひとつの柱が、6つのコラールだ。「暁の星のいと美しきかな」BWV436、「世よ、さらば!」BWV27の6、「満ち足れり」BWV60の5などの声楽曲を、ヴィキングルはピアノだけで演奏する。声のために書かれた言葉の音楽が、鍵盤の響きに転換されるとき ── その親密さと静かな深みを、ピアノという楽器を通して新たに発見するプロセスがここにある。

また弦楽伴奏を伴う作品として、シッギ弦楽四重奏団とコントラバスのXun Yangが参加した《ヴァイオリン・ソナタ第5番》BWV1018の「Adagio」と、先行配信中の《鍵盤楽器のための協奏曲 ヘ短調》BWV1056の「Largo」も収録される。

10億回再生の半分が、バッハだった

「バッハは私の日記になりました。彼の音楽を弾くことは、私の人生において変わることのない、ただ一つの習慣です」——30年以上にわたり毎日バッハを弾き続けてきたヴィキングルの全世界累計ストリーミング再生回数は10億回を超え、その約半数をバッハの作品が占めている。2026年グラミー賞「最優秀クラシック器楽ソロ賞」を《ゴルトベルク変奏曲》の録音で受賞した彼にとって、バッハは生涯の問いだ。

『CONTINUUM II』はその問いの、今この瞬間の答えだ。

ヴィキングル・オラフソン『CONTINUUM II ~ヴィキングル・プレイズ・バッハ』
2026年11月6日(金)発売 品番:UCCG-45149 ¥3,300(税込)
ドイツ・グラモフォン/ユニバーサルミュージック

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