
Melati ESP、Tristan Arp、Kaaziによるコラボレーティヴ・プロジェクト、Asa Toneがニュー・アルバム『Mutualkind』を2026年10月22日にMusic From Memoryよりリリースする。日本ではPLANCHAからCDも発売。アルバムの発表にあわせて、先行シングル「Jalur-Jalur」が公開された。
インドネシア、メキシコシティ、ベルリン、ニューヨーク。異なる土地に暮らす3人が遠隔で音を交換しながら制作した本作では、声、パーカッション、電子音響、即興演奏が複雑に交差。国境もジャンルも軽やかに越境する、Asa Toneならではの音楽が全11曲にわたって展開される。
4つの都市を結びながら生まれた「共有言語」
『Mutualkind』の核にあるのは、異なる土地、経験、音楽的アプローチを持つ3人の間に生まれる「共有言語」というアイデアだ。
制作はインドネシア、メキシコシティ、ベルリン、ニューヨークを行き来しながら進行。メンバーが同じスタジオに集まり作品を完成させる従来型のレコーディングとは異なり、物理的な距離を隔てながら互いの音を送り、受け取り、変化させるプロセスそのものがアルバムの重要な要素となった。
Tristan Arpによる電子ハンド・パーカッションは、Melati ESPの声の断片をリアルタイムでトリガー。話し言葉や音素は偶然性を取り入れたリズム・プロセスによって切断、反復、再配置されていく。
声がパーカッションになり、リズムがメロディになる。
誰がリズムを鳴らし、誰が旋律を奏でているのか。その境界さえ曖昧になっていくところに、『Mutualkind』ならではの有機的なグルーヴが生まれている。
ケンダンとモジュラー・シンセ、伝統と未来が同じ場所で鳴る
収録曲の制作方法も一様ではない。「Second Language」「Watertalk」は一発録りのライヴ・レコーディングから生まれた一方、メンバー同士が遠隔で音源を交換し、時間をかけて構築された楽曲も収められている。
さらにインドネシアで行われた最終セッションには、バリ島のパーカッショニスト、Putu Septaが参加。インドネシアの伝統打楽器ケンダンを演奏している。
その生々しい打楽器の響きに、モジュラー・シンセ、FM音源、電子ドラム、MIDIウインド・インストゥルメント、そして絶えず形を変えるMelati ESPのヴォーカルが重なっていく。
アコースティックとエレクトロニック、伝統と未来、即興とプログラミング。相反するように見える要素を分離するのではなく、ひとつの音響空間の中で共存させていくことも、本作を特徴づけるポイントだ。
「Jalur-Jalur」が先行公開
アルバムのリリースに先駆け、収録曲「Jalur-Jalur」が先行シングルとして公開された。
全11曲で構成される『Mutualkind』には、「Second Language」「Soft Fascination」「In Vanishing Landscapes」「Voicemap 1」「A Tiny Now」「Hidden Channel」「Unlayering」などを収録。
音を引き伸ばし、途切れさせ、細かく刻み、再び配置する。その音響処理の背後には、曖昧になっていく国境や消えゆく風景、変容する生態系といった現代世界のイメージも投影されているという。
しかし作品を貫いているのは「分断」そのものではない。離れた場所にいる者同士が互いの音に耳を澄まし、即興し、音を交換しながら、共有できる何かを探していく。その制作プロセス自体が『Mutualkind』というタイトルへと結びついている。
Leaving RecordsからMusic From Memoryへ ── Asa Toneの歩み
Asa Toneは、Melati ESP、Tristan Arp、Kaaziによってニューヨークで結成された多国籍プログレッシヴ・パーカッション・トリオ。
2018年にはインドネシアの熱帯雨林に仮設スタジオを設置し、リンドゥックやスリンなどの現地楽器、シンセサイザー、声、周囲の環境音を用いた即興セッションを敢行。その録音をもとに制作されたデビュー・アルバム『Temporary Music』を2020年にLeaving Recordsからリリースした。
ガムラン、ミニマル・ミュージック、アンビエント、ニューエイジ、実験的エレクトロニック・ミュージックを横断する立体的なサウンドで注目を集め、2021年にはYu Suからの依頼でNew Forms Festivalのために制作したリモート・パフォーマンスを『Live at New Forms』として作品化。
2023年にはSalamandaとのジョイント・ツアーでトリオとして初来日し、CIRCUS OsakaとCIRCUS Tokyoで公演を開催。翌2024年にも来日し、野外フェスティバル〈EACH STORY ~THE CAMP~〉に出演した。
2025年には電子音楽/ニューエイジのパイオニア、Ariel Kalmaとのコラボレーション・アルバム『○』を発表。そして2026年、彼らはMusic From Memoryから『Mutualkind』を送り出す。
Music From Memoryから放たれる、Asa Toneの新たな現在地
アンビエント、ニューエイジ、第四世界、実験音楽など、時代や地域の境界を越えた作品を発掘・紹介してきたアムステルダムのMusic From Memory。そのカタログにAsa Toneが加わることも、『Mutualkind』を象徴するトピックのひとつだ。
声と楽器、電子音と生楽器、即興とプログラミング、そして自己と他者。いくつもの境界を往復しながら、3人はそこに新しい共通言語を立ち上げようとしている。
Asa Tone『Mutualkind』は10月22日リリース。日本盤CDはPLANCHAより発売され、価格は2,200円+税。先行シングル「Jalur-Jalur」は現在公開中だ。

Asa Tone『Mutualkind』
発売日:2026年10月22日
レーベル:Music From Memory / PLANCHA
日本盤品番:ARTPL-271
フォーマット:CD
価格:2,200円+税
