
パンクとハードコアで研ぎ澄まされた衝動が、デトロイト・テクノの倉庫文化に着地したとき、何が生まれるか——Ted KriskoとEric RickerによるデュオAtaxiaは、その問いへの答えをずっと体現し続けてきた。2026年5月22日、Carl Craig主宰の名門レーベルPlanet E Communicationsから2曲入りEP『The Whistles』が配信開始となった。2020年の『Oblivion EP』以来のPlanet E帰還となる今作で、Ataxiaはフルクラブ・プレッシャーで新たな章を刻む。
路上と地下室から引き剥がされた声が、催眠的な螺旋を作る
タイトルトラック「The Whistles」は、街頭と地下クラブの両方から引き剥がされた断片的なヴォーカル・サンプルを核に、催眠的なグルーヴが渦巻きながら展開する。制御されているようで常に逸脱寸前 ── そのぎりぎりのバランスこそがこのトラックの緊張感だ。B面「Hocus on Pocus」は、アナログ・エフェクトとエラスティックなベースラインが絡み合いながらサイケデリックなピークタイム・カットへと変貌する。奇妙で、グルーヴィーで、フロアを一瞬にして別の次元に引き込む。
両曲を貫くのは、デトロイト・ハウスとテクノ、そしてパンクのDNAが同じ血管の中を流れるAtaxia特有のサウンドだ。ルーバリーなベースライン、アナログFX、無規則なサンプリング、ローリングするプレッシャー ── ハードウェア主体で構築されたそのアーキテクチャーは、ライヴバンドの精神を持ちながらクラブの文法で語りかける。
ミシガンのパンクシーンから、Richie Hawtinの軌道へ
Ataxiaの物語は、ミシガン州のパンク&ハードコアシーンから始まる。従来のバンド形式に可能性の限界を感じていたふたりが、デトロイト・テクノとRichie Hawtinの1990年代後半〜2000年代初頭の世界に出合い、すべてが変わった。以来、デトロイトの工業的な歴史、倉庫カルチャー、DIYの精神を血肉にしながら、Carl CraigのPlanet E軌道に乗り込んでいった。Carl Craig自身のPsycheエイリアスのリミックスを手がけた2023年の仕事も、そのつながりの深さを物語っている。
デトロイトという都市が持つ素の力 ── その摩擦と情熱が、2曲という凝縮された形で届いた。
Ataxia『The Whistles』Planet E Communicationsより配信中
