1970年、日本の音楽史を揺るがせた奇跡の邂逅 ── 日野皓正クインテット×フラワー・トラヴェリン・バンド、伝説の7インチが復刻

日本のジャズとロックが初めて本気でぶつかり合った瞬間――。そんな歴史的作品として語り継がれる日野皓正クインテットとフラワー・トラヴェリン・バンドによる1970年のシングル『クラッシュ/ドゥープ』が、7インチ・アナログとして待望のリイシューされる。さらに、謎に包まれたサイケ・ジャズ・ロックの名盤『ロック・オブ・ジョイ』も同時復刻。日本コロムビアのアーカイブ・プロジェクト「J-DIGS reissues」が、日本音楽史に埋もれていた重要作へ再び光を当てる。

ジャズとニューロックが火花を散らした、1970年の歴史的セッション

1970年当時、日野皓正クインテットは『ハイノロジー』の成功や、のちにレアグルーヴ・クラシックとして世界中のDJに愛される「スネイク・ヒップ」などで、日本ジャズの最前線を疾走していた。

一方のフラワー・トラヴェリン・バンドは、グループ・サウンズ出身の精鋭たちを集め、内田裕也のプロデュースのもと誕生したばかりの新鋭バンド。本作『クラッシュ/ドゥープ』は、そんな彼らにとって記念すべきデビュー作品でもある。

ジャンルという枠組みがまだ色濃く存在していた時代に、ジャズとニューロックが真正面から交差したこのシングルは、日本のクロスオーバー史における最初期の到達点と言っても過言ではない。

ジョー山中の咆哮、石間秀樹のシタールが生む唯一無二のサウンド

A面「クラッシュ」は、ジョー山中の圧倒的なハイトーン・シャウトと日野皓正の鋭利なブラスが激しくぶつかり合うロック・ナンバー。ジャズの即興性とロックの爆発力が混ざり合い、1970年という時代の熱量をそのまま封じ込めたような一曲だ。

対するB面「ドゥープ」は、石間秀樹による幻想的なシタールが空間を支配するサイケデリック・チューン。東洋的な響きとジャズの自由な発想、ロックの実験精神が混然一体となり、日本独自のサイケデリック・サウンドを生み出している。

わずか2曲ながら、その密度は現在聴いても驚くほど濃密だ。

サイケ・ジャズ・ロックの”秘宝”『ロック・オブ・ジョイ』も初期アナログの名作として復刻

同時発売されるのは、1971年にタクト・レーベルから発表されたマンハイム・ロック・アンサンブル『ロック・オブ・ジョイ』。

表向きは「クラシックをロックでアレンジする」という企画盤だが、その実態はファズ・ギター、ハモンド・オルガン、ラウドなリズム隊が暴れ回るサイケデリック・ロック作品。ベートーヴェンやショパン、メンデルスゾーンといった名曲を大胆に解体し、1970年代初頭らしいアンダーグラウンドな熱気へと生まれ変わらせている。

さらに興味深いのは、当時のLPでも演奏メンバーが一切公表されていないというミステリアスな背景だ。ジャズ専門レーベルであるタクト制作という点からも、当時のジャズ・ロック・シーンを支えた実力派ミュージシャンが匿名で参加していた可能性が高いとされ、長年コレクターの間で”幻の一枚”として語り継がれてきた。

J-DIGS reissuesが掘り起こす、日本音楽史の重要遺産

近年、海外では日本のジャズ、サイケデリック・ロック、シティポップ、レアグルーヴへの評価がかつてないほど高まっている。

そんな中、日本コロムビアが展開する「J-DIGS reissues」は、膨大なカタログの中から時代を超えて再評価されるべき作品をアナログで蘇らせるプロジェクトとして注目を集めている。

今回復刻される2作品は、いずれも1970年代初頭という、日本のロックとジャズが最も自由に混ざり合い、新しい表現を模索していた時代を象徴する歴史的音源だ。

半世紀以上を経た今なお色褪せない実験精神と圧倒的な熱量。そのグルーヴは、現代の耳でこそ改めて体感すべき日本音楽史の重要な遺産と言えるだろう。

リリース情報

発売日:2026年12月5日

日野皓正クインテット × フラワー・トラヴェリン・バンド

『クラッシュ/ドゥープ』(7インチ)

  • 品番:COKA-114
  • 価格:2,200円(税込)
  • オリジナル発売:1970年5月10日

マンハイム・ロック・アンサンブル

『ロック・オブ・ジョイ』(LP)

  • 品番:COJY-9611
  • 価格:4,950円(税込)
  • オリジナル発売:1971年10月25日

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