
傷ついていても「大丈夫」と言える。痛みを抱えたまま踊れる。そういう夜が、確かにある。韓国にルーツを持ち東京を拠点に活動するラッパー/シンガーソングライター uarenotsane(ユーアーノットセイン)が、デビューからちょうど1年という節目に初のEP『threshold archetype』を2026年6月11日にリリースした。ハウス、ドラムンベース、オルタナティヴ・ポップが交差する6曲の中に、これまでで最も生々しく、最も無防備な彼女がいる。
明るいメロディの裏で、心が静かに出血している
本作の核心は、その表と裏のコントラストにある。キャッチーで明るいメロディとヴォーカル ── その下に潜む暗く憂鬱な歌詞。詩的で感覚的な比喩を用いながら、心の奥底にある痛みや傷をありのまま書き留めるuarenotsaneの手法が、このEP全体に独特の鎮痛的なムードを生み出している。聴く者は奇妙な矛盾の中に置かれる ── 明るいのに切ない、踊れるのに泣きたい、という感覚だ。
「out with the girlies」 ── 失恋した女の子たちの、夜の連帯
リードトラック「out with the girlies」は、この作品の世界観への入り口だ。華やかな梨泰院のクラブ、そのトイレの片隅に集まった傷心した友人たち。互いに「大丈夫」と強がりながら、失恋の痛みに内側で揺れている——その夜を、uarenotsaneはキャッチーに、切なく、愛おしく歌った。性別や恋愛対象に関係なく、ただ「愛」によって傷ついたすべての人への曲だ。痛みの中でお互いを抱きしめる連帯と慰めを宿したこのオープニングが、過去の記憶を通り抜け、癒やしへと向かうEP全体の旅路の序幕を告げる。
ヒップホップ、ハイパーポップ、ハードスタイル ── ジャンルを横断する新世代の感性
uarenotsaneのキャリアを一言でまとめることは難しい。Rap/HIPHOP、hyperpop、Jumpstyle/Hardstyle、オルタナティヴ・ポップ、Drum’n’Bassを分け隔てなく横断し、HIPHOPのストリート感覚と、マンガ・アニメ・”病み”・”地雷系”を包含したオタクカルチャーやギャルカルチャー、インターネット美学を独自に融合させたビジュアルも彼女の大きな個性だ。予測不可能な実験の連続の中でも、常に自身の最も率直な内面の感情を投影し続けてきた——その姿勢が、初のEPという形で集約された。
uarenotsane自身はこう語る ── 「この1年間様々なジャンルを行き来しながら実験を続けてきましたが、今作はこれまでで最も無防備で生々しい、ありのままの私を詰め込んだコレクションです。にぎやかな夜の街から帰る途中にいる方も、部屋で1人失恋の痛みに向き合っている方も、このEPが心地よい安らぎとなることを願っています」。

uarenotsane 1st EP『threshold archetype』
2026年6月11日リリース(6曲収録)
