愛する妻が掃除機に宿って帰ってきた ── カンヌ批評家週間グランプリのタイ映画『ユースフル・ゴースト』、7月10日公開

「本当に君なの?」「本当に戻ってきたの ── 」

戸惑いながらも、掃除機に宿った妻を抱きしめる夫。その光景は滑稽で、切なく、そしてどこか痛いほど美しい。2025年カンヌ国際映画祭〈批評家週間〉にタイ映画として史上初選出・グランプリを獲得し、アカデミー賞®国際長編映画賞タイ代表にも選ばれた映画『ユースフル・ゴースト』が、2026年7月10日より日本公開される。本予告・本ポスター・場面写真10点が本日解禁となった。

「ヨルゴス・ランティモスがタイに移住したかのようだ」

粉じん公害が深刻化するバンコク。最愛の妻ナット(ダビカ・ホーン)を呼吸器疾患で亡くしたマーチ(ウィサルット・ヒンマラート)のもとへ、ある日、掃除機に宿ったナットの魂が舞い戻る。マーチの家族が経営する工場では死亡した従業員の霊が機械に取り憑き操業停止状態。社会から拒絶されたナットは除霊に協力することで、夫への愛と自らの「役に立つ幽霊」としての存在を証明しようとする ── 。

コメディ、ロマンス、ホラー、SFをすべての重力から解き放ったように横断しながら、環境問題・労働・政治的抑圧という現代タイの深い傷へと静かに切り込んでいく本作。TITANE/チタンのジュリア・デュクルノー、ウェス・アンダーソン、アピチャッポンを引き合いに語られ、Screen Dailyからは「まるでヨルゴス・ランティモスがタイに移住したかのようだ」と評された。ジャンルでは括れない、という評が一番正確かもしれない。

タイ語の「ホコリ」に隠された、もうひとつの意味

監督は1987年バンコク生まれのラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク。カンヌ受賞スピーチで「この賞を、役に立つ幽霊もそうでない幽霊も含めて、タイにいるすべての幽霊に捧げたい」と語った彼は、本作の主題についてこう明かす ── タイ語の「ホコリ(埃)」には、現代スラングで「人間以下の扱いをされる者」という意味が宿っている。声を上げられず、支配者の意のままに動かされ、簡単に消されてしまう人々のことだ。「霊もホコリも厄介者で、本来いるべきではない場所に現れる。ホコリを取り除くための掃除機に取り憑いた幽霊というのは、アイロニックな存在なんです」。

Instagramフォロワー1,800万人超のダビカ・ホーンが、掃除機に宿る

主演は、タイ映画『愛しのゴースト』でメー・ナーク役を演じてスターダムへ駆け上がり、いまやアジアを代表するファッションアイコンでもあるダビカ・ホーン。今作では「掃除機に宿る幽霊」というさらなる難役を、圧倒的な存在感と繊細な表現力で全身全霊で体現した。タイ民間に伝わる怪談「メー・ナーク・プラカノーン」 ── 死後も現世にとどまり夫との愛を深めた女性の物語 ── に着想を得たこの映画のために、彼女は再びその役柄の核心へと降り立った。

本予告のナレーションは、Netflixドラマ「地獄へ堕ちるわよ」など数々の名物”夫”役で知られる俳優・田村健太郎が担当。田村は「幽霊となって帰ってきた妻、その存在を信じ切る夫。まるで彼岸のハネムーンのような美しいシーン。儚さと生々しさにたっぷり酔わされました」とコメントを寄せた。

映画『ユースフル・ゴースト』
2026年7月10日(木)公開
監督・脚本:ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク
出演:ダビカ・ホーン、ウィットサルート・ヒンマラート、アパシリ・ニティポン ほか
2025年/タイ・フランス・シンガポール・ドイツ合作/130分
配給・宣伝:SUNDAE(Powered by Filmarks)

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