
ニュージーランドに生まれ、現在は東京を拠点に活動を続けるピアニスト、作曲家、プロデューサー、マーク・ドクライヴロウ。ニュー・ジャズ、ブロークン・ビート、エレクトロニック・ミュージックのパイオニアとして、数十年にわたり世界の音楽シーンの最前線を走り続けてきた彼が、新たな金字塔を打ち立てる。
共同レーベルであるImpressive CollectiveとBBE Musicからリリースされる最新コンピレーション・アルバム『Remixes & Reimaginations』は、彼の比類なき才覚が注ぎ込まれた「再解釈と再構築」の結晶である。
前作にあたるソロ・プロジェクト『past, present – tone poems across time』が見事なまでに内省的で、思索に満ちた静謐なトーンを湛えていたのとは対照的に、本作は彼がこれまでに手がけてきた他のアーティストへの卓越したリミックスワークに焦点を当てた、極めて躍動的な傑作集となっている。
「リミックスとは、単に音源のそれぞれのパーツを再構成すること以上の意味を私にとって常に持ってきた。それは音楽の中に潜む新たな現実を掘り起こすことだと思う」
彼がそう語るように、ここにあるのは単なるクラブ向けのフロア仕様の編曲ではない。オリジナル・アーティストの魂(エッセンス)を極限まで尊重しつつ、そこに「新たな生命」を吹き込むという、きわめて高次元の芸術行為である。
progressiveなダンスフロアと、深く音楽に耳を傾けるリスナーへ捧ぐ
本作に刻まれた音像は、先見の明を持つダンスフロアを激しく揺さぶる一方で、部屋で一人ヘッドホンを頼りに深く音を聴き込むリスナーの鼓膜をも至福で満たす。
Close Countersの「I’ll Be There For You」は、心躍るゴスペル・ハウスからブロークン・ビート流の最先端フロア・アンセムへと鮮やかに変貌を遂げた。We Are KINGの「Supernatural」では、時代を超越した天使のような歌声が、彼のモダンな審美眼によってさらに崇高な響きを獲得している。
さらに注目すべきは、UKソウルの至宝・オマーが1997年に放った名曲「This is Not A Love Song」の存在だ。発表から30年近くの時を経て、マーク・ドクライヴロウの手によって独占リミックスされたこの楽曲は、歴史への深いリスペクトと未来へのヴィジョンが交錯する本作のハイライトの一つと言える。
また、アンソニー・ジョセフスが放つ政治的なメッセージが込められた「Maka Dimweh」の再構築など、収録されたすべてのトラックが強い意志と愛、そして好奇心によって貫かれている。
「私を招き入れ、作品を深く掘り下げ、愛と好奇心、そして敬意を持って解体し、再構築させてくれたすべてのアーティストに感謝したい。このコンピレーションは単なる回顧集ではなく、芸術形式としてのリミックスを称えるお祝いなのだ」
そう語るマークの言葉通り、これは彼が歩んできた軌跡の証明であり、リミックスという文化そのものに対する最高峰の賛辞である。
世界最高峰のスタジオによる音響設計と豪華なフォーマット
音質への妥協なきこだわりも、本作を特別なものにしている。全楽曲のマスタリングを手がけたのは、ロンドンのグラミー賞ノミネート・スタジオ「The Carvery」の最高峰エンジニア、フランク・メリットである。太く、深く、どこまでもクリアなその音響は、リスナーを瞬時に音の深淵へと引きずり込む。
パッケージは、2枚組アナログ盤(LP)およびデジタル配信の2つのフォーマットでリリースされる。それぞれにしか収録されない限定トラック(アナログ盤限定のTortured Soulのリミックス、デジタル限定のReclooseやAmp Fiddlerをフィーチャーした楽曲など)が存在する点も、熱心なコレクターやDJたちの心を掴んで離さないだろう。
さらに、本作にはマーク・ドクライヴロウ自身によるライナーノーツが掲載されており、このコレクションに対する彼の極めてパーソナルな想いや制作の背景を直接読み解くことができる。
単なるパーツの組み替えではない。音楽の核心に潜む美しさを解放する、マーク・ドクライヴロウという名の魔法。音を愛するすべての人間に、この至高の「再解釈」を体感してほしい。
作品情報
Mark de Clive-Lowe presents 『Remixes & Reimaginations』
- レーベル: Impressive Collective / BBE Music
- 発売日: 2026年7月17日
- ジャンル: Electronic / Nu-Jazz / Broken Beat
- フォーマット: 2枚組アナログ盤(BBE784CLP)、デジタル配信(BBE784CDG)
- マスタリング: Frank Merritt (The Carvery, London)
収録曲リスト
【デジタル配信版】
- I’ll Be There For You (Mark de Clive-Lowe Remix) – Close Counters
- Ten Acres (Mark de Clive-Lowe Remix) – Zy the Way
- Looking Back (Mark de Clive-Lowe Remix) – Footshooter & André Espeut
- OLBAP (Mark de Clive-Lowe Remix) – Cosmic Vibrations feat. Dwight Trible
- This Is Not A Love Song (Mark de Clive-Lowe Remix Extended) – Omar
- The Travelling Song (Mark de Clive-Lowe Remix) – Pete Josef
- Games We Play (Mark de Clive-Lowe Remix) – Cherie Mathieson
- Supernatural (Mark de Clive-Lowe Remix) – We Are KING
- When I Think of You (Mark de Clive-Lowe Remix) – Alison Crockett
- Maka Dimweh (Mark de Clive-Lowe Remix) – Anthony Joseph
- Lock & Key (Mark de Clive-Lowe Remix) – Amana Melomé
- If You Believe (Mark de Clive-Lowe Remix) – Syndee Winters
- Catch A Leaf (Mark de Clive-Lowe Remix) – Recloose feat. Rachel Fraser
- The Why (Mark de Clive-Lowe Remix) – Mark de Clive-Lowe feat. Nia Andrew
- Park Pick Up Player (Mark de Clive-Lowe Remix) – Bobbito Garcia
- Cosmosis (Mark de Clive-Lowe Remix) – Yameen feat. Amp Fiddler (=配信のみ収録)
【2枚組アナログ盤(LP)】
SIDE A
- I’ll Be There For You (Mark de Clive-Lowe Remix) – Close Counters
- Ten Acres (Mark de Clive-Lowe Remix) – Zy the Way
- Looking Back (Mark de Clive-Lowe Remix) – Footshooter & André Espeut
SIDE B
- OLBAP (Mark de Clive-Lowe Remix) – Cosmic Vibrations feat. Dwight Trible
- This Is Not A Love Song (Mark de Clive-Lowe Remix Extended) – Omar
- The Travelling Song (Mark de Clive-Lowe Remix) – Pete Josef
- Games We Play (Mark de Clive-Lowe Remix) – Cherie Mathieson
SIDE C
- Supernatural (Mark de Clive-Lowe Remix) – We Are KING
- When I Think of You (Mark de Clive-Lowe Remix) – Alison Crockett
- Maka Dimweh (Mark de Clive-Lowe Remix) – Anthony Joseph
SIDE D
- Did You Miss Me (Mark de Clive-Lowe Remix) – Tortured Soul *
- Lock & Key (Mark de Clive-Lowe Remix) – Amana Melomé
- The Why (Mark de Clive-Lowe Remix) – Mark de Clive-Lowe feat. Nia Andrew (*=アナログ盤のみ収録)
