ブライアン・ジャクソン × Masters At Work──「It’s Your World」で蘇るメッセージとグルーヴの真価

2025年4月25日、BBE Musicよりリリースされた新曲「It’s Your World」は、音楽とメッセージの融合を極めたブライアン・ジャクソンの真骨頂とも言える作品である。かつてギル・スコット=ヘロンの音楽的パートナーとして、社会と個人のリアリティを表現してきたジャクソンが、今再びその「声」を、伝説的ハウス・デュオMasters At Work(ルイ・ヴェガ&ケニー・ドープ)との共演で響かせる。

本作は、まもなく発表されるアルバム『Now More Than Ever』からの先行シングル。全3バージョンのデジタル配信としてリリースされた。

Brian Jackson photo by Joey Adarkwah

すべての“ブライアン”たちへ贈る──内なる世界を肯定するマントラ

「“ホワッツ・ハプニング、ベイビー?”と問われて、“お前の世界だ”と返す──このやりとりに、本当に意味があると感じた」
かつてブルックリンで音楽業界の厳しさを肌で感じていた青年、ブライアン・ジャクソンが自らを励ますように書いたこの曲は、誰もが抱える孤独や不安を包み込む。「これはすべての“ブライアン”たち──つまり、人生の確かさを必要としている誰かへの賛歌なんだ」と彼は語る。

Masters At Work and J Ivy photo by Joey Adarkwah

11分におよぶ魂の叙事詩──名匠たちの手による贅沢なプロダクション

ルイ・ヴェガとケニー・ドープによるプロデュースは、NYスタイルのソウルフルなグルーヴに溢れている。そこへ、現代ソウルのカリスマラヒーム・デヴォーンが情熱的なヴォーカルで呼応し、さらにグラミー賞受賞詩人J.アイヴィーが静かな力をもってマントラを重ねる。

演奏陣も豪華である。フェンダー・ローズを操るジャクソンを中心に、アップル・ヒル弦楽四重奏団、ホーン隊にはイヴァン・レンタ(テナーサックス)とアレックス・ノリス(トランペット)、そしてベースにはジーン・ペレス、打楽器はルイシト・キンテーロが担当。弦楽アレンジはブギー界のレジェンド、リロイ・バージェスが手がけ、バック・ヴォーカルにはリサ・フィッシャーとシンディ・ミゼルというディーヴァが華を添えている。

エンジニアはデイヴ・ダーリングトン、マスタリングはハーブ・パワーズと、いずれもグラミー受賞の名手たちによって仕上げられており、まさに“現代のクラシック”と呼ぶにふさわしい一曲である。

Lisa Fischer and Cindy Mizelle_photo by Nathalie Gordon

ジャクソンが語り継ぐ“真実”の連なり

「愛は暖かい鎧。私たちは光であり、間違いの中の正しさだ──」
この曲が発するメッセージは、詩であり、祈りであり、そして闘志でもある。ギル・スコット=ヘロンと共に時代の声を代弁してきたジャクソンは、今なお変わらぬ信念を胸に、世代やジャンルを超えて問いかける。「究極の力は私たちの中にある」と。

リリース情報

  • タイトル:It’s Your World
  • アーティスト:Brian Jackson, Masters At Work
  • 発売日:2025年4月25日
  • レーベル:BBE Music
  • フォーマット:デジタル配信
  • ジャンル:R&B / Soul
  • 収録バージョン
    1. Single Version
    2. Extended Version
    3. Radio Edit (feat. Raheem DeVaughn)

🎧 試聴リンクはこちら


「It’s Your World」──それは、あなたの世界であり、私たちの世界である。魂に届く音と、今なお燃え続けるメッセージを携えて、ブライアン・ジャクソンは現代に舞い戻った。これは単なるレトロスペクティブではない。生きた音楽であり、生きるための音楽である。

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