
現代アンビエント/エクスペリメンタル・ミュージックを語る上で欠かせない存在となったサウンド・アーティスト、KMRUが、ついに日本の地を踏む。ナイロビ生まれ、現在はベルリンを拠点に活動する彼が、長野・五光牧場で開催される野外フェスティバル「EACH STORY ~THE CAMP~ 2026」で待望の初来日を果たすことが決定した。
さらに、この来日に合わせて、2026年の話題作『Kin』の日本盤CDがPLANCHAより9月25日にリリースされる。現代音響シーンの最前線を走るKMRUの現在地を、日本で体験できるまたとない機会となりそうだ。
フィールド・レコーディングの先へ──『Kin』が切り拓く新たな音響世界
2020年にEditions Megoから発表した傑作『Peel』によって世界的な評価を確立したKMRU。環境音やフィールド・レコーディング、ドローンを繊細に重ね合わせる独自の作風は、アンビエント・ミュージックの新たな地平を切り開いてきた。
約6年ぶりに同レーベルへ帰還して完成させた『Kin』では、その美学をさらに大きく更新する。
これまで作品の中心に据えてきた環境音に加え、ディストーション、ノイズ、ギターの響きを大胆に導入。静謐なアンビエンスと轟音が共存する、これまでで最もダイナミックなサウンドスケープを描き出している。
アルバムは全6曲・約55分。冒頭の「With Trees Where We Can See」が柔らかなメロディで静かに幕を開けると、「Blurred」ではオーストリアの音響作家Fenneszとの共演が実現。きらめくギター・サウンドと巨大なドローンが溶け合い、Editions Megoらしい緊張感と美しさを併せ持つ音響空間を生み出している。
「They Are Here」では深いメランコリーを湛えたドローンへ、「Maybe」では光が差し込むような電子音の奔流へと移ろい、「We Are」では鋭利なノイズと複雑なリズムが激しく交錯。そして20分を超えるラスト・トラック「By Absence」は、アコースティックな余韻と万華鏡のような残響がゆっくりと広がり、作品全体を静かに締めくくる。
Peter Rehbergへ捧げられた、時間をかけて完成した一枚
『Kin』は、Editions Megoを率いた故Peter Rehbergとの「『Peel』の次はどんな作品になるのか」という会話から始まった。
制作は2021年にナイロビでスタートしたものの、Rehbergの急逝によって一度中断。その後、2022年から少しずつ制作が再開され、長い時間をかけて完成へと至った。
アルバムの最後に記された「For Pita.」という献辞は、Rehbergへの深い敬意と感謝を静かに物語っている。『Kin』は単なる新作ではなく、ひとつの時代への追悼であり、未来へ向かう新たな出発点でもある。

Artist: KMRU
Title: Kin
Label: PLANCHA
Cat#: ARTPL-265
Format: CD / Digital
※解説付き予定
Release Date: 2026.09.25
Price(CD): 2,200 yen + tax
EACH STORYで実現する、待望の日本初パフォーマンス
KMRUが出演する「EACH STORY ~THE CAMP~」は、美しい自然と先鋭的な音楽体験が融合する国内屈指の野外フェスティバル。今年も長野県・五光牧場オートキャンプ場を舞台に開催される。
ラインナップにはKMRUのほか、Goldmund名義で出演するKeith Kenniff、Fennesz、Jim O’Rourke × 石橋英子、Alice Phoebe Lou、Joey Dosik、Tomo Katsurada × Jonny Nash、satomimagae、COLA RENなど、国内外の先鋭的なアーティストが集結。PLANCHAとも縁の深いアーティストが数多く出演することでも注目を集めている。
都市の喧騒から離れた自然の中で体験するKMRUの音響世界は、作品とはまた異なる特別な時間になるだろう。

“聴く”という行為を問い直すアーティスト
Joseph KamaruことKMRUは、単なるアンビエント・ミュージシャンではない。
彼が探究しているのは、環境音そのものではなく、「音を聴く」という行為や、その場に流れる時間、空間、そして記憶である。ベルリン芸術大学(UdK Berlin)でサウンド・スタディーズを学び、インスタレーションや長時間に及ぶパフォーマンスなど活動領域を広げてきた彼は、現代エクスペリメンタル・シーンを代表する表現者として国際的な評価を確立している。
『Kin』は、その歩みの新たな到達点だ。
静寂と轟音、残響とノイズ、電子音とギター。そのすべてが有機的に溶け合い、一度では決して掴みきれない豊かなディテールを宿している。音量を上げ、時間を忘れ、耳を澄ませるほど、新たな風景が現れてくる。
初来日という記念すべきタイミングで届けられるこの作品は、日本のリスナーにとってKMRUという唯一無二の才能と出会う、最高の入口になるはずだ。
