告白は、誰にも届かなくていい ── Frances Chang、内なる迷宮を描く新作『been thinking bout confession』から新曲「Auratones of desire」を公開

ブルックリンを拠点に活動するミュージシャン/プロデューサー、Frances Changが、8月21日にRVNG Intl.よりリリースするサード・アルバム『been thinking bout confession』から、新曲「Auratones of desire」をミュージックビデオとともに公開した。

映画音楽のようなスケール感とベッドルーム・ポップの親密さを行き来しながら、自我の深層へと静かに潜っていく本作。その最新シングルは、アルバム全体を貫く”自己との対話”を象徴する、息を呑むような一曲となっている。

欲望の正体は、いつも自分自身だった

「Auratones of desire」は、誰かと偶然出会うことへの恐れから始まり、その人物が現れないことへの喪失感へと反転していく、心理劇のような楽曲だ。

Chang自身はこの作品を「投影についてのクラシックな心理ドラマ」と表現している。

ストラヴィンスキーを思わせる不穏なストリングス、フィルム・ノワールの陰影、さらには往年のスパイ映画を想起させるスリリングなアレンジが、楽曲全体を緊張感で包み込む。しかし最後に浮かび上がる”追い求めていた誰か”とは、他者ではなく、自分自身のもうひとつの人格だったことに気づかされる。

ポップソングでありながら、一篇の心理スリラーを観終えたような余韻を残す作品だ。

イングマール・ベルイマン『ペルソナ』から着想を得た映像作品

同時公開されたミュージックビデオは、映像作家Annie Hornerとの共同監督作品。

白黒のSuper 8フィルムで撮影され、Personaを重要なリファレンスとして制作された。ホラー映画のような違和感、映像というメディアそのものへの不信感、そして偶然生まれるノイズまでも作品の一部として受け入れた映像は、夢と現実の境界を曖昧にしていく。

Changは「私はよく映画を観ようとしている夢を見る。でも映画そのものではなく、映写機ばかり見つめている」と語る。

その言葉どおり、この映像は”スクリーンに映る物語”ではなく、”映し出している主体”そのものを問いかける作品となっている。

「告白」とは、他者ではなく自分へ向けられるもの

8月21日にリリースされる3作目『been thinking bout confession』は、タイトルどおり”告白”をテーマに据えながら、一般的な懺悔やカミングアウトとはまったく異なる地点を見つめている。

ここで語られる告白には神父も聞き手も存在しない。

あるのは、自分自身だけ。

真実と虚構、記憶と幻想、デジタルと肉体、録音された声と生身の感情──その境界はアルバム全体を通して絶えず揺れ動き、リスナーは誰かの物語ではなく、意識そのものの揺らぎを追体験していく。

100年前のピアノから生まれた、未来のエクスペリメンタル・ポップ

アルバムの大半は、およそ100年前に製造されたベビー・グランド・ピアノを用いて作曲された。

その温もりある響きを核に、オーケストラ、アナログ機材、スプリング・リバーブ、チューブ・プリアンプ、そして現代的なデジタル・プロダクションを幾重にも重ね合わせることで、時間軸そのものが歪んだようなサウンドスケープを構築している。

Björkの神秘性やBroadcastのレトロフューチャーな感覚を思わせながらも、その音楽性はどこにも属さない。Chet Baker、Dionne Warwick、Burt Bacharachといったクラシック・ポップからの影響も、アルバムの感情的な骨格として静かに息づいている。

インディーロック、映画音楽、実験音楽 ── すべてが交差する現在地

シカゴで移民の家庭に生まれたChangは、パンク/エモ/ポストハードコア・バンドでの活動を経て、ソロ・アーティストとして独自の実験音楽を追求してきた。

2022年の『support your local nihilist』、続く『Psychedelic Anxiety』では、変拍子と親密なソングライティングを融合させた独自の世界観を提示。さらに映画音楽の分野でも高い評価を集め、ノイズ、ドローン、ミュージック・コンクレートを取り入れたスコアで存在感を放っている。

そうしたキャリアの集大成ともいえる『been thinking bout confession』は、映画、文学、ゲーム、クラシック・ポップ、実験音楽といった多様な文化的記憶を一枚のアルバムへと結晶化させた作品だ。

自己を見つめることは、ときに誰かを見つめることよりも恐ろしい。

『been thinking bout confession』は、その不安や矛盾から目を背けることなく、音と言葉、そして映像を通して静かに照らし出していく。現代のエクスペリメンタル・ポップが到達した、新たな心理映画とも呼ぶべき一作が、まもなくその全貌を現す。

Artist: Frances Chang
Title: been thinking bout confession

Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Cat#: ARTPL-263
Format: CD / Digital
Release Date: 2026.08.21
Price(CD): 2,200 yen + tax

※日本独自CD化
※解説・歌詞・対訳付き予定

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