複数の恋を同時に走らせる女の子に、哲学の名前をつけた ── Bakehourの新曲「Utilitarianism」が功利主義をダンスにする

自分の幸せと利益を最大化するために、複数の関係を同時に維持する。それを「合理的な選択」だと信じて疑わない、ある種のパーティーガール ── その心境を哲学の「功利主義」になぞらえるという発想自体が、すでに面白い。韓国の電子音楽ユニットBakehourが、新シングル「Utilitarianism(공리주의)」を2026年6月19日にリリースした。

中毒性の高いフックが、ナイトクラブの陶酔をそのまま描く

「Utilitarianism」は刺激的なハウス/エレクトロニカのサウンドを基盤に、memethehouseの甘ったるいヴォーカルが楽曲全体を引っ張る。反復されるフレーズが、ナイトクラブで誰もが一度は経験する高揚と陶酔をそのまま音にしている。Bakehourはこの曲についてこう語る ── 「力強いビートと中毒性のあるメロディが中心の楽曲なので、ダンスチャレンジやパフォーマンスにも繋がってほしい」。誰も傷つかず、誰の心も同じ大きさであればいい ── 現実には簡単には実現できない奔放な振る舞いを、主人公を通じて軽やかに肯定する楽曲だ。

ミュージックビデオでは、フラッシュライトが多用された演出が刹那的な感覚を捉え、シンプルだが耳に残るフックと歌詞のように、ビジュアルもテキスト/タイポグラフィの要素を取り入れて反復と中毒性を強調している。撮影・編集はR&BアーティストIzyperryの映像なども手がけるthe seanが担当した。

「準備期間中、ずっと楽しさしかなかった」 ── 制作の裏側

プロデューサーのyumetreeはこう振り返る ── 「実は最初はリリースするところまで考えていなかった曲だったのですが、ミミ(memethehouse)が何気なく送ってくれたガイドにすっかり魅了されて、最後まで準備することになりました。準備期間中ずっと楽しさしかなかった経験は初めてで、結果ばかりに集中してまともに楽しめなかった自分の固執した習慣を捨てることができました」。

memethehouseもこう語る ── 「トップラインの骨格が決まった瞬間、簡単で中毒性が強すぎて、すぐに電話をかけて聞かせて修正した記憶があります。実はEP収録曲よりも先に完成した曲で、一人で何度聴いても飽きないのが不思議です」。先行公開の形でライヴで2度披露した際も反応は上々で、「現場でテンションが最も上がる曲」だったという。曲の冒頭に登場する日本語の「いらっしゃいませ」というフレーズについても、「個人的にはお守りのような存在。いつかこの曲が日本に届き、自然に日本での活動につながることを願っています」とコメントしている。

yumetreeとmemethehouse ── ジャンルを越境する韓国の新星

Bakehourは、作曲・編曲を担うyumetreeと、ヴォーカル・作詞を担うmemethehouseによる韓国の電子音楽ユニットだ。2023年のデビューシングル「Love is Game」を経て、2026年2月にはDrum’n’Bassを軸にしたEP『GAMEOVER』をリリースし本格的な活動をスタート。HIPHOP、R&B、ハウス、Drum’n’Bassとその時々のトレンドを柔軟に取り込みながら、楽曲のストーリーの主人公「Bekie(ベッキー)」を起点にジャンルに縛られない物語を紡いできた。「Utilitarianism」はそのBekieが奔放に遊ぶ蠱惑的な姿を描いた、ヘビーで中毒性の高い一曲だ。

Bakehour「Utilitarianism(공리주의)」
2026年6月19日リリース

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