
ディープ・ハウスの始祖 Larry Heard(Mr. Fingers)が、「Crossed Lines」を三様に解体し、再構築した。Reverbに満ちた深淵の「Deep」ミックス、骨だけを残した沈黙の「Ambient」ミックス、Roland 303が夜の暗部をうねる「Acid」ミックス ── この三つが同時に存在するという事実だけで、Hercules & Love AffairのAndy Butlerが今回組んだリミックス・パッケージの意味は語り尽くせる。全6曲を収録した『Someone Else Is Calling Remixes』が、StrataSonicより全世界配信開始となった。
「Frankieの次は、Larry」 ── ハウス二大祖師との邂逅
Butlerにとって、このコラボレーションはひとつの奇跡の反復だ。2008年のデビューシングル「Blind」にFrankie Knucklesがリミックスを施した時、Butlerは「彼が本当に音楽を聴き、感じてくれたとわかった」と語った。今回Larry Heardの仕事を受け取った瞬間、まったく同じ体験が起きた ── それがButler自身の言葉だ。
「LarryはオリジナルEPを作る際の直接的なインスピレーション源でした。だから彼がこのパッケージに参加してくれたことは、特別に胸を打つ。どれほど感謝しているか、言葉では表せない」。ハウスの歴史を刻んだ二人の人物が、一人のアーティストの音楽に魂を注いだという事実の重さは、ファンであれば震えるほどのものだ。
6曲、6人の声、6つの夜
Larry Heardの3バージョンに続くB面も、個性が際立つ。カナダ・トロントのCielは「Body & Soul」をブレイクビート・ドリヴンな構造へと変貌させ、クリスプなパーカッションと丸みを帯びたベースライン、スムースなアシッドリードが絡み合うトラックへ再編した。Luke Solomon & CPENは「That’s Not How To Love」をフロアに的を絞ったNRGリミックスに仕上げ、温もりのあるピアノコード、オシレーティングなベースライン、繊細なシンセのアクセントが螺旋を描く。Mystery Affairは「Someone Else Is Calling」をパンチの効いたスネアとシンセ・テクスチャー、カウベルとディレイがかかったコード・スタブで武装したダンスフロア・ウェポンへと塗り替えた。
18年間クィア・ダンスカルチャーの最前線に立ち続けてきたAndy Butler。アンダーグラウンド・ハウスとポップとクィア表現の境界を溶かし続けてきたその仕事の、また確かな一章がここに揃った。

トラックリスト
Crossed Lines — Mr. Fingers Acid Mix / Crossed Lines — Mr. Fingers Deep Remix / Crossed Lines — Mr. Fingers Ambient Mix / That’s Not How To Love — Luke Solomon & CPEN NRG Remix / Body & Soul — Ciel Remix / Someone Else Is Calling — Mystery Affair Remix
StrataSonicより全曲配信中
