
やらなければならないことを、やれ。南アフリカの言葉「Dala What We Must」にはそんな意味が込められている。不確かさの中でも、前へ進む。それはエサ・ウィリアムズがこの20年間、ケープタウンを離れ世界を渡り歩きながら実践してきた生き方そのものだ。2026年4月24日、BBEミュージックよりリリースされるデビューアルバム『Dala What We Must』は、その歩みのすべてが静かに、しかし力強く刻み込まれた一枚である。
20年という時間が、音楽になるまで
ケープタウンを旅立ってから20年。DJ・プロデューサーとして世界各地のシーンと関わりながら、エサは音に対する耳をゆっくりと、しかし確実に変えてきた。その変容に決定的な影響を与えたのが、ドキュメンタリーの音楽制作という経験だった。Audibleのポッドキャスト『Cursed』や『The Invisible Hand』といったプロジェクトを通じて彼が学んだのは、空間を尊重すること、沈黙に耳を傾けること、物語に奉仕することだ。そのサウンドトラック的な感性が、このアルバム全体に深く染み渡っている。音楽は語りかけるだけでなく、息をし、たゆたい、聴く。
ロンドン、オアハカ、ナイロビ、ケープタウン ── 地球を跨ぐ共同制作
マルチ奏者のロビン・G・ブリーズとの共同制作を核としながら、アルバムにはロンドン、メキシコのオアハカ、ナイロビ、そして故郷ケープタウンのミュージシャンたちが参加している。フィールドレコーディングと多層的な生演奏が溶け合い、それぞれの土地の空気と体温が楽曲の中に宿っている。これはエサにとって最もコラボレーティブな作品であり、その根底にあるのは開かれた心と、信頼と、共有された経験だ。地球上の点と点を繋ぎ、ひとつの音楽的宇宙を生み出す試み ── それがこのアルバムの本質だ。
父になる前夜に完成した、静かな覚悟の記録
アルバムが最終的な形を得たのは、エサ自身が父親になる直前の数ヶ月のことだった。その事実を知ってから改めて耳を傾けると、作品全体に漂う落ち着きと慈しみの感覚が、違う意味を帯びて聴こえてくる。新しい命を迎える前夜の、静かな覚悟。旅を続けながらも、根を張ることへの希求。「やらなければならないことを、やれ」というタイトルは、外向きの宣言であると同時に、自分自身への、そしてこれから生まれてくる子への、内なるメッセージでもあるのだろう。
マスタリングはロンドンの名門スタジオ、ザ・カーヴェリーが担当。20年の旅の結晶が、丁寧な手仕事によって磨き上げられた。エサ・ウィリアムズのデビューアルバムは、音楽という形を借りた、ひとりの人間の誠実な自己紹介状だ。
Esa Williams
『Dala What We Must』
フォーマット:アナログ盤、デジタル配信
発売日:2026年4月24日
Genre: World Music
Sub-Genre: African
カタログ番号: BBE809
