
USインディー・シーンの最重要バンド、ウォーター・フロム・ユア・アイズ。その中心人物として唯一無二の存在感を放つソングライター、This Is Loreleiことネイト・エイモスが、ニュー・アルバム『The Singer In My Band』を9月11日にリリースする。移籍先となる〈Matador Records〉から初めて届けられる本作は、アメリカン・ポップの伝統を大胆に解体し、新たな物語として再構築した意欲作。アルバム発表にあわせて、先行シングル「Billy Came Back」も公開された。
ロードムービーのように駆け抜ける、新たなポップ・アルバム
『The Singer In My Band』は、ツアーでアメリカ各地を巡るなかで見た景色や出会った人々、偶然起きた出来事を物語へと昇華した作品だ。
ジョーイ、ビリー、ジュヌヴィエーヴ、サラ――アルバムには実在と空想の境界を行き来する魅力的な登場人物たちが現れ、それぞれのエピソードが一冊のロードノベルのように連なっていく。旅先で生まれた記憶の断片がメロディへと姿を変え、ユーモアと切なさ、違和感と親しみやすさが絶妙なバランスで共存する。
聴き終えたあとには、一枚のアルバムというより、一度きりの長い旅を終えたような感覚が残るだろう。
「Billy Came Back」が示す、弾けるポップ・センス
アルバムに先駆けて公開された「Billy Came Back」は、本作を象徴するキラーチューンだ。
疾走感あふれるバンドサウンドに、ネイトならではのひねくれたメロディセンスが絡み合い、シンプルなポップソングで終わることを決して許さない。耳に残るフックを持ちながらも、どこか予想を裏切る展開は、彼のソングライターとしての才能を改めて印象づける。
一度聴けば口ずさめる。それでいて、何度も聴き返したくなる奥行きがある。『The Singer In My Band』全体を象徴する一曲と言えるだろう。
Matador Recordsで切り開く新境地
2024年に発表した『Box for Buddy, Box for Star』は、批評家・リスナー双方から絶賛され、現行USインディーを代表する作品の一つとなった。その後には、MJ Lenderman、Hayley Williams、Jeff Tweedyらが参加したデラックス盤もリリースされ、ネイト・エイモスの評価はさらに高まっていく。
そして今回、名門〈Matador Records〉への移籍という大きな転機を迎えた。
インディーロックの歴史を築いてきたレーベルの新たな一員として届けられる『The Singer In My Band』は、これまで以上に自由で、遊び心に満ちた作品へと仕上がっている。
家族とともに紡いだ、最もパーソナルな一枚
本作ではネイト自身がプロデュース、エンジニアリング、演奏までを担当。さらにタイトル曲では、ブルーグラス奏者でもある父ボブ・エイモスがバンジョーで参加し、姉妹のサラ・エイモス、パートナーのアル・ナルドもレコーディングに加わっている。
幼少期から身近にあったブルーグラスの精神を、現代的なインディーポップへと自然に溶け込ませたサウンドは、本作ならではの温もりを生み出している。
実験精神にあふれながらも、どこか懐かしい。奇妙なのに、美しい。その絶妙なバランスが、このアルバムを特別な作品へと押し上げている。
現代USインディーを更新する、新たなマスターピースへ
ウォーター・フロム・ユア・アイズで見せる実験性と、This Is Loreleiで追求する親密なポップネス。その二つの世界が美しく交差した『The Singer In My Band』は、ネイト・エイモスというソングライターの成熟を決定づける作品になりそうだ。
ロードムービーのように景色が移ろい、登場人物たちが歌の中を自由に歩き回る。そして最後には、「ポップミュージックとは何か」という問いそのものを書き換えてしまう。
2026年秋、この一枚はUSインディーの新たな指標として、多くのリスナーの心に深く刻まれることになるだろう。

| label: Matador Records / Beat Records artist: This Is Lorelei title: The Singer in My Band release date: 2026.09.11 (Friday)https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15891 ・国内盤CD(解説書・歌詞対訳付き/ボーナストラック追加収録) ・輸入盤CD・輸入盤カセット ・輸入盤LP(ブラック・ヴァイナル) ・限定盤LP(数量限定/ホワイト・ヴァイナル)・国内仕様盤LP(数量限定/日本語帯付き・解説書封入/ホワイト・ヴァイナル) |
