あの5日間に、そこにいた ── ビートルズ来日60周年、封印されていた証言が今ひらかれる

1966年6月29日から7月3日。たった5日間の滞在で、日本中が沸騰した。あれから60年。キャデラックを運転した男は、助手席の4人組のことを今も語れるだろうか。東京ヒルトンの10階を担当していたハウスマンは、廊下で何を見たのだろうか。音楽評論家・宮永正隆がその問いを抱えて始めた長年の取材が、増補・新装版『ビートルズ来日学 1』として、2026年5月20日にリットーミュージックより発売された。

同じ日航機に「あえて」乗った会社員が、語り始める

本書に登場するのは、ファンでも音楽関係者でもない。日本に向かうビートルズの日航機にあえて同乗した東レの広報宣伝部長、武道館公演を日本で初めてテレビ放送した日本テレビのディレクター、移動に使ったキャデラックの運転手、東京ヒルトンホテルの宴会場エンジニアや各フロア担当スタッフ、武道館楽屋でお茶くみを担当した女性、ビートルズが訪れた古美術店やテーラーのスタッフ——。4人のそばにいたが、けっして「ビートルズを追いかけていた」わけではない人々の証言が、あの5日間の細部を次々と浮かびあがらせる。

初公開、警備書類全23ページ ── あの来日は、どう守られていたのか

今回の増補・新装版最大のトピックは、旧版では冒頭2ページのみ公開されていた「ビートルズ関係警備合同打合せ会議」と「ガードマン勤務要綱」書類の全23ページ初公開だ。あの来日がいかに綿密に、そして緊迫した緊張感のもとで警備・管理されていたかが、生の文書として初めて読者の目に触れる。さらに旧版刊行後に判明した新事実が【2026年追記】として各所に加筆されており、60年越しのアップデートが施された決定版となっている。

桑田佳祐も愛読した「ビートルズ大学」の集大成

著者の宮永正隆は、ポール・マッカートニー、ヨーコ・オノ、ショーン・レノン、ジャイルズ・マーティンらを単独取材し、ジョン・レノン・ミュージアムの展示品解説を執筆、英国EMI公式書籍の日本版監修では原書にないデータを加筆して原著者から賞賛された、日本最高峰のビートルズ論者だ。その知識と愛情に裏打ちされた評論活動は「ビートルズ大学」という愛称で浸透し、桑田佳祐も自身のビートルズ賛歌「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」は「ビートルズ来日学を愛読する中で生まれた」と公言している。本書の旧版は2016年、ミュージック・ペンクラブ音楽賞(著作出版物賞)を受賞した。

続く「2」も今秋発売 ── 60周年を2冊で総括する

書名に「1」とあるとおり、全ページ初書籍化となる『ビートルズ来日学 2』の今秋発売も決定している。2冊合わせてビートルズ来日60周年を完全に総括するプロジェクトは、まだ始まったばかりだ。

『ビートルズ来日学 1』(増補・新装版)
著者:宮永正隆 
定価:3,520円(税込) 
発売:2026年5月20日
発行:リットーミュージック
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