390億回の耳が知っているピアニストが、ロイヤル・アルバート・ホールから届ける夏の記憶 ── エイナウディ『The Summer Portraits Live』

ロイヤル・アルバート・ホールの荘厳な丸天井の下、ルドヴィコ・エイナウディが鍵盤に指を置いた瞬間——その空気が、録音として封じ込められた。ストリーミング累計再生数390億を超え、クラシック・アーティストとして史上最も多く聴かれた男が、2025年の英国公演をそのまま届けるライヴ作品『The Summer Portraits Live』を2026年6月12日にリリースする。先行シングル「Pathos」はすでに配信中だ。

エルバ島の古い絵画から生まれた、夏と記憶のアルバム

本作のベースとなるオリジナル・アルバム『サマー・ポートレイト』(2025年)は、エイナウディが冬を越してイタリア・エルバ島の古民家で過ごした夏に見つけた一枚の絵画から始まった。幼少期の夏の記憶、南の光と海の匂い——そうした個人的なイメージが、ノスタルジックでセンチメンタルなメロディの数々に結晶している。録音の多くは自宅スタジオで行われ、一部はアビイ・ロード・スタジオでも収録。テオティム・ラングロワ・ド・スワルテのバロック・ヴァイオリン、ロバート・エイムズ指揮のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のオーケストラ・パートが、その詩的な世界をさらに深く広げた。

『The Summer Portraits Live』はその楽曲群をロイヤル・アルバート・ホールで演奏した記録だ。「Experience」「Nuvole Bianche(白い雲)」「I Giorni」といった長年愛されてきた代表曲も新たなアレンジとともに収録され、新旧のエイナウディが一夜の物語として連なる。

ビートルズの『リボルバー』に魅了された少年が、390億回の耳に届くまで

エイナウディの音楽的な出自は、クラシックの世界に根を張りながら、決してそこだけには収まらなかった。ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院でアツィオ・コルギに師事し、その後はルチアーノ・ベリオという20世紀現代音楽の巨人に学んだ。しかし1960年代に少年だった彼が最初に買ったレコードはビートルズの『リボルバー』——弦楽八重奏からシタールまでを飲み込んだあのアルバムの越境性は、後のエイナウディ・サウンドの予言そのものだった。

イタリア政府音楽大使として活動し、名門デッカ在籍20年の節目に新作を届けるエイナウディは、日本では是枝裕和監督作『三度目の殺人』(2017年)や映画『最強のふたり』(2011年)の音楽を手がけた作曲家として知られている。

収録曲

Rose Bay / To Be Sun / Punta Bianca / Episode One / Santiago / I Giorni(新アレンジ)/ Pathos / Maria Callas / Experience / Nuvole Bianche / Tower

なお7月10・11日には、自身史上最大規模となるロンドンO2アリーナ公演も予定されており、今夏のエイナウディの存在感は一段と大きくなる。

ルドヴィコ・エイナウディ
『The Summer Portraits Live』
2026年6月12日リリース(輸入盤/配信)
試聴・購入はこちら / 公式サイト / Instagram

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