喪失の先に、祈りは響く ── MONOが新作『Snowdrop』で描く“永遠の感謝”

静寂と轟音、そのあわいに感情を溶かし続けてきた日本のインストゥルメンタル・ロックバンド、MONO。彼らが2026年6月12日にリリースする13作目のアルバム『Snowdrop』より、セカンドシングル「Gerbera」がミュージックビデオと共に公開された。

“誠実な愛”を鳴らす「Gerbera」

『Snowdrop』は、“人生をともに歩んでくれた大切な人たちへの永遠の感謝”をテーマに制作された作品だ。各楽曲タイトルには、亡き人へ手向ける花の名前と、その花言葉が託されている。

今回公開された「Gerbera」の花言葉は、“誠実な愛”と“陽気さ”。バンドはこの楽曲について、「あなたと出会えてよかった。無垢、純粋、喜び、美しさ、そしてその笑顔を決して忘れない」とコメントしている。

言葉数は少なくとも、その一文にはMONO特有の深い余韻が宿る。轟音の奥にある繊細な感情、その核が「Gerbera」には静かに刻まれている。

風と祈りが交差するミュージックビデオ

MVの監督を務めたのは映像作家の満若勇咲。舞台となるのは、風に揺れるすすき野原。自然のうねりとバンドの演奏が呼応し合い、映像はまるで“風そのもの”に導かれるように進んでいく。

満若は「誰かを愛し、愛される営みは決して変わらない」と語る。混迷する時代だからこそ、この作品は単なるMVではなく、“祈り”として存在している。

Steve Albini亡き後に完成したアルバム

『Snowdrop』は、長年MONOと歩みを共にしてきた伝説的エンジニア/プロデューサー、Steve Albiniの死を経て制作された作品でもある。

レコーディングは彼ゆかりのスタジオElectrical Audioで実施。プロデューサーにはBrad Woodを迎え、さらにシカゴ拠点の指揮者Chad McCulloughと再タッグを組み、10人編成のオーケストラと8人編成の聖歌隊を導入している。

巨大な喪失を抱えながら、それでも音を鳴らし続ける。その行為自体が、このアルバムの核心なのだろう。

悲しみを“希望”へ変える8篇

アルバムには「希望」「追憶」「変わらぬ心」「永遠の感謝」など、それぞれ異なる花言葉を持つ8曲が並ぶ。

しかし『Snowdrop』は、単なる追悼作品ではない。
そこにあるのは喪失の暗さではなく、“出会えたこと”そのものへの深い感謝だ。

MONOは、悲しみを消そうとはしない。むしろその痛みを抱えたまま、美しさへと変換していく。だからこそ彼らの音楽は、世界中のリスナーの人生と静かに重なり続ける。

静寂と轟音は、再び世界を巡る

『Snowdrop』リリース後、MONOは日本公演を皮切りにアジア、ヨーロッパ、オーストラリアを巡るワールドツアーを敢行する。

Spotify O-EAST、ロンドンのElectric Ballroom、ベルリンのMetropol ── その轟音は再び世界各地へ放たれる。

25年以上にわたり、“音そのもの”で感情を語り続けてきたMONO。『Snowdrop』は、彼らが喪失の先で掴み取った、新たな光の記録なのかもしれない。

Artist: MONO
Title: Snowdrop

Label: Temporary Residence Ltd.
Cat#: TRR453
Format: CD / 2xLP / 2xLP-C2 (Boysenberry)
Release Date: 2026.06.12

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