レコードは時代を超える ── Face Records福岡新店オープンと“昭和レコード”再評価の現在地

アナログレコード専門店「Face Records」を展開するFTF株式会社が、2025年4月24日に福岡・天神に新店舗をオープンした。それに続き、昭和の日である4月29日には全国5店舗で特別イベント『Face Recordsが探る「レコードと音楽文化の昭和100年」』を開催。いずれも予想を大きく上回る盛況ぶりを見せ、世代を問わず昭和レコードへの関心が高まっていることが明らかとなった。

一方で、団塊世代やバブル世代の高齢化に伴い、かつて大量に生産・保有されたレコードが、次世代に受け継がれぬまま廃棄される“2025年問題”も現実味を帯びつつある。レコードは今、文化遺産としての転機を迎えている。

若い世代も魅了する昭和の音

福岡天神ワンビルに誕生した新店舗「Face Records TENJIN ONE FUKUOKA BLDG.」では、オープンから1か月でレコードプレーヤーが91台も販売された。平均して1日あたり3〜4台が売れる計算であり、購入者の多くはZ世代など若年層であるという。昭和の音楽文化に触れる最初のきっかけとして、アナログレコードが新たな役割を果たしているのだ。

実際、売れ筋レコードも世代を超えて幅広い。洋楽ではクイーン、シャーデー、スタイル・カウンシル、スティービー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、マドンナなどが人気を集め、邦楽ではYMO、はっぴいえんど、山下達郎、松任谷由実、大滝詠一、坂本龍一といった昭和を代表するアーティストたちが再び脚光を浴びている。

「古くて重いもの」か、「文化のバトン」か──2025年問題とは

昭和レコードの盛り上がりの一方で、深刻な懸念も浮上している。それが、団塊〜バブル世代の高齢化により、多くのレコードが“価値に気づかれないまま”廃棄されてしまう「2025年問題」である。

1976年から1980年にかけて、国内では年間2億枚近くのレコードが生産されていた。これらのレコードの所有者である高齢世代が、今まさに後期高齢者(75歳以上)へと移行している。総務省の推計によれば、2025年には日本の高齢者(65歳以上)は全人口の約3割、後期高齢者は約17%に達するという。

問題は、これら膨大なレコード資産が「家族にも価値が伝わらず」「処分の方法も分からず」「場所を取る厄介なモノ」として扱われてしまう危険性が高いことである。つまり、昭和の音楽文化を象徴する多くの作品が、このままでは歴史の中に埋もれてしまう可能性があるのだ。

Face Recordsの取り組み──レコードに第二の人生を

こうした文化的危機に対して、Face Recordsはアナログレコードを「単なる中古品」ではなく「時代を記録した文化遺産」として位置づけている。創業以来30年にわたりレコード専門店として培ってきた知見をもとに、経験豊富なスタッフによる丁寧な査定と買い取りサービスを提供。廃棄ゼロを目指し、レコードの再流通を支えている。

「MUSIC GO ROUND──音楽は巡る」というコーポレートメッセージのもと、Face Recordsは音楽文化の継承者として、単にレコードを売買するだけでなく、次世代への“音のバトン”を手渡す役割を担っている。

今こそ、レコードの価値を問い直すとき

アナログレコードは単なる“古いメディア”ではない。そこには、ある時代の空気や感情、アーティストの哲学や街の匂いまでもが封じ込められている。デジタルでは味わえない、手触りのある体験こそが、今の若い世代にも支持されている理由である。

昭和100年を迎える2025年。私たちは、音楽文化の「残すべきもの」と「失われゆくもの」の境界線に立っている。だからこそ、Face Recordsのような専門的な知見を持つ存在が果たす役割は、これまで以上に大きい。

レコードは、ただのモノではない。時代を超えて生きる“声”であり、記憶であり、文化そのものである。


※Face RecordsやFTF株式会社の詳細、各店舗・オンライン情報はこちら:https://linktr.ee/facerecords_pr

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