
頭の中で繰り返し浮かんでいた光景があった。ヨーロッパのどこか、廃墟のブルータリスト建築の橋の下。スローモーションで踊る人々。ハイファッションとブルータリズムが交差するその空間に、ひとつ残らずスマートフォンはない。フラッシングライトの中、言葉にならない陶酔感が全員を包む ── その幻想から産み落とされたのが、オーストラリア出身・LA拠点のプロデューサー/DJ、EDDIEの新曲「Step On It」だ。HypnoVizionより配信中。
ガリガリとした質感、そしてサイバートロニックな声
「Step On It」が作り出す空間は、徹底的にアンダーグラウンドだ。研磨された質感のテクスチャーと重低音が地面を揺らし、ディストーションの効いたシンセワークとスリンキングなリズムが這うように展開される。その上をサイバートロニックなヴォーカルの断片が切り裂き、抑制されたビルドアップが緊張を積み上げていく ── ここにあるのは、爆発への衝動を最後まで制御し続けるという、ある種の快楽だ。
本人はこう語る ── 「ヨーロッパ滞在中に作り始めた曲で、ずっとその光景を想像してた。違法でも合法でもいいんだけど、レイヴとファッションウィーク映像をこれで観てほしい」。
mau5trap、Deadbeats、REZZとの絆——シーンの中枢を歩んできた男
EDDIEのキャリアは、電子音楽シーンの最前線そのものをトレースしてきた。mau5trap、Monstercat、Deadbeats、Gud Vibrationsといった先鋭レーベルでのリリースに加え、REZZ、Zomboy、Black Tiger Sex Machine、ATLiensとのコラボレーションをこなしてきた。HypnoVizionには2023年のEP『Onzeker Kraft Vol. 1』でデビューし、続くVol. 1.5、そしてレーベルヘッドのREZZとの共作「Maleficent」「ZONE」と着実に存在感を積み上げてきた。
「Step On It」は、そのEDDIEが深夜のヨーロッパで見た夢の、最も生々しい結晶だ。

