André 3000『New Blue Sun』の音世界を支えた異才、Nate Mercereauが新境地へ──ジャンルの境界を溶かす圧巻の新作、日本独自CD化が決定

ロサンゼルスの実験音楽シーンを語るうえで、いま最も刺激的な音楽家のひとりがNate Mercereauだ。André 3000による話題作『New Blue Sun』の主要コラボレーターとして世界的な注目を集め、Carlos Niñoらとともに現代LAの先鋭的なサウンドを切り拓いてきたマルチ・インストゥルメンタリスト/作曲家/プロデューサー。さらに、日本では沼澤尚率いるスーパー・ファンク・バンド「NOTHING BUT THE FUNK」のメンバーとしても知られる彼が、新たな到達点となるアルバム『Fantastic Thoughts』を発表する。

作品はLeaving Recordsより2026年9月11日にリリース。日本ではPLANCHAから、日本限定となるCDフォーマットで発売されることも決定した。CDにはボーナストラック「Going Further」が追加収録されるほか、日本語解説も付属予定となっている。

プログレ、ジャズ、アンビエント、電子音楽──すべてを現在進行形へ更新する一枚

『Fantastic Thoughts』は、プログレッシヴ・ロック、ジャズ・フュージョン、アンビエント、電子音楽といった多彩な音楽的語彙を、圧倒的な演奏技術と自由奔放な発想力で再構築した約50分の音楽体験だ。

アルバムは約8分にも及ぶオープニング「There’s Something Here…」から幕を開ける。緻密に組み上げられたリズムと大胆な展開は、まるで一つの長編映画を観るかのようなスケールを持ち、続くタイトル曲「Fantastic Thoughts」では、その創造性がさらに加速。ほぼ全編インストゥルメンタルで構成されながら、一瞬たりとも聴き手を飽きさせない密度を誇る。

急激に変化する構成、複雑に絡み合うリズム、自身の演奏を再構築するセルフ・サンプリングなど、アルバム全体にはMercereauならではの実験精神が満ちている。しかし決して難解さを追求しているわけではない。その中心にあるのは、純粋な歓びと、音楽を演奏することそのものへの圧倒的な愛情だ。

André 3000からJAY-Zまで──現代音楽シーンを横断する異能

Nate Mercereauは、いまやポップスと実験音楽、その双方から求められる数少ないミュージシャンのひとりである。

André 3000『New Blue Sun』では作品世界の核を担う主要コラボレーターとして参加し、Carlos NiñoやSurya Botofasinaらとともに幻想的なサウンドスケープを構築。アルバムはグラミー賞主要部門にもノミネートされ、その革新性を世界へ示した。

その一方で、JAY-Z、The Weeknd、Leon Bridges、Lizzo、John Legend、P!nk、A$AP Rocky、Shawn Mendes、Jon Batisteなど、ポップミュージックの第一線でもプロデューサー、ソングライター、演奏家として数々の作品を支えてきた。

さらには、Sheila E.のバンドメンバーとして世界ツアーを経験するなど、そのキャリアはジャンルという言葉では到底括れない広がりを持っている。

“Now Zone of Infinite Freedom”──過去ではなく未来へ向かうプログレッシヴ・ミュージック

Mercereauが影響源として挙げる名前は実に幅広い。

Yes、King Crimson、Mahavishnu Orchestra、Jimi Hendrix、Carlos Santana、Pat Metheny Group、Frank Zappa、Jeff Beck、Brian Eno、Squarepusher……。

しかし『Fantastic Thoughts』は、それらへのオマージュ作品ではない。

本人が「Now Zone of Infinite Freedom」と呼ぶように、本作が目指しているのは、過去のジャンルを引用することではなく、すべての音楽を吸収した先にある”現在進行形の自由”だ。

プログレッシヴ・ロックの壮大さ、ジャズ・フュージョンの超絶技巧、アンビエントの浮遊感、サイケデリアの恍惚、電子音楽の実験性。それらは本作の中でジャンルとして存在するのではなく、一つの巨大な創造エネルギーとして溶け合っている。

“ギター”という宇宙の中心

本作でMercereauは、アコースティック/エレクトリック・ギターをはじめ、ギターシンセサイザー、MIDIギター・サンプラー、マンドリン、ツィター、ベース、ドラム、キーボード、クラリネット、さらにはプログラミングまで、その大半を自ら演奏している。

なかでも彼が「宇宙の中心」と表現するギターは、本作を貫く最も重要な存在だ。

鋭利なリードから液体のように形を変えるアンビエントな音響まで、その音色は絶えず変化し続け、アルバム全体を一本の糸のようにつないでいく。

さらにCarlos Niño、Deantoni Parks、Andres Renteria、Aaron Shaw、Aaron Steele、Justin Brownらが参加。即興演奏ならではの身体性が作品へ新たな生命を吹き込んでいる。

想像力を信じること。そのすべてが”Fantastic”

『Fantastic Thoughts』というタイトルには、Mercereauの思想そのものが込められている。

恐れや自意識に創造力を委ねるのではなく、頭の中に浮かぶあらゆるアイデアを肯定し、「Fantastic」なものとして受け入れること。

だからこそ、この作品は技巧を誇示するアルバムではない。

驚異的な演奏力と膨大なアイデアを携えながら、その奥には驚くほど率直で、無防備で、人間らしい感情が息づいている。

ポップと実験、即興と構築、歓喜と静寂。そのすべてを飲み込みながら、Nate Mercereauはまたひとつ、新しい音楽の地平を切り拓いた。

『Fantastic Thoughts』は、現代のプログレッシヴ・ミュージックが到達し得る最高地点のひとつであり、聴く者の想像力そのものを解放する、2026年屈指の重要作となりそうだ。

Artist: Nate Mercereau
Title: Fantastic Thoughts
Label: PLANCHA / Leaving Records All Genre
Cat#: ARTPL-267
Format: CD / Digital
CD Release Date: 2026.09.11
Price(CD): 2,200 yen + tax

※日本独自CD化
※ボーナス・トラック1曲収録
※解説付き予定

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