
2000年代を象徴する失恋ソングが、22年の時を経てダンスフロアに帰ってきた。ベルリンを拠点に活動するプロデューサー/DJのEly Oaksが、sirinensとのコラボレーションによる新曲「F_ck it (I don’t want you back)」を9月25日にJINX Musicよりリリースした。
題材となったのは、Eamonが2004年に発表した「F**k It (I Don’t Want You Back)」。浮気した元恋人への怒りと決別をストレートに歌い、UKチャートで4週連続1位を記録したヒット曲だ。今回のバージョンでは、その強烈な感情を残しながら、高速のエレクトロニック・ビートとダークなベースを導入。ラジオからクラブ、巨大フェスティバルまでを射程に入れた2026年型のダンス・トラックへと再構築している。
2004年の失恋アンセムが、ダンスフロア仕様に変貌
オリジナルの魅力は、何よりそのあまりにも率直な言葉にあった。Eamonの「F**k It (I Don’t Want You Back)」は2004年、UKシングルチャートの首位を4週間にわたってキープし、BillboardのEuropean Hot 100でもトップを獲得。タイトルに露骨な言葉を含む楽曲として初めてUKチャート1位を記録した作品としても知られている。
Ely Oaksとsirinensは、その“苦い別れの歌”をノスタルジーだけで消費するのではなく、現代のフロアへと移植した。
原曲のレイドバックしたビートに対し、新バージョンはテンポを上げ、より直接的な構成へ。力強いベースコードが楽曲に新たな陰影を与え、失恋の痛みを大勢で叫べるピークタイムのエネルギーへと変換している。
「僕らは2人ともEamonのオリジナルが大好きなんだ」とEly Oaks。とりわけベースのコードが加わった瞬間に、このリメイクならではの意味が生まれたと振り返っている。リリース前からInstagramやTikTokで拡散されていた楽曲だけに、正式リリースを待っていたリスナーも少なくなさそうだ。
Taylor SwiftからSteve Aokiまで ── 加速するEly Oaks
オーストリアのキッツビュールに生まれ、現在はベルリンを拠点とするEly Oaksは、ストリーミング時代のポップ感覚とクラブ・ミュージックのエネルギーを横断するプロデューサーとして急速に存在感を高めている。
2021年にソロ・プロジェクトを始動し、Florence + The Machine「Spectrum (Say My Name)」のリミックスをきっかけに注目を集めると、その後「Running Around」が大きなヒットを記録。LAVINIAとの「Borderline」もUKとドイツのシングルチャートにランクインした。
2026年に入ってからも活動のペースは速い。Taylor Swift「Opalite」のオフィシャル・リミックスをはじめ、Steve Aoki、SACHAとのコラボレーション「Gravity」、Gryffin、BUNT.、Inézによる「World Away」のリミックスなどを発表。今回の「F_ck it (I don’t want you back)」は、9月11日の「Self Aware」、9月18日の「World Away」リミックスに続く、短期間での新たなリリースとなる。
メタルコア、Skrillex、TikTok ── 雑食性が生んだ現在地
Ely Oaksのバックグラウンドも興味深い。若い頃にはFoalsに夢中になり、その後Bring Me The Horizonを中心としたメタルコアへ傾倒。やがてSkrillexのリミックスをきっかけにEDMと出会い、ダブステップ制作やデュオZOOTAHでの活動を経て現在のソロ・キャリアへとたどり着いた。
インディーロック、メタルコア、ダブステップ、EDM、そしてSNS以降のポップカルチャー。異なる時代とジャンルを横断してきた経験は、過去のヒット曲を現在のダンスミュージックへ変換する今回のアプローチとも自然につながっている。
すでにTomorrowland、Ultra Australia、Ushuaïa Ibiza、EDC Orlandoなどのステージにも出演。ストリーミングやSNSで届く音楽と、巨大なサウンドシステムで鳴らす音楽を同時に成立させることが、彼の大きな特徴となっている。
22年前の怒りは、この冬ふたたび大合唱へ
新曲のリリース後、Ely Oaksは11月から2027年にかけて大規模な北米ツアーを予定している。ダラス、シアトル、ボストン、ニューヨーク、マイアミ、デトロイト、サンフランシスコ、トロント、モントリオール、ロサンゼルスなど各都市を巡るロングツアーとなる。
22年前、一人のシンガーが元恋人へ突きつけた強烈な別れの言葉。それが2026年には、高速のビートに乗って何千人ものオーディエンスが叫ぶフロア・アンセムへと姿を変える。
「F_ck it (I don’t want you back)」は、単なる2000年代リバイバルではない。誰もが知る記憶を現在のクラブカルチャーへ接続する、Ely Oaksらしいアップデートだ。

Artists: Ely Oaks, sirinens
Title: F_ck it (I don’t want you back)
Label: JINX Music
Release date: September 25, 2026
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