ブリッツとタブーの亡霊たちと踊る夜 ── Hercules & Love Affair、2部作EP『Danseur』前編をリリース

フランキー・ナックルズとラリー・ハードにリミックスされ、ANOHNIとの「Blind」で2008年にシーンを震撼させてから約20年。Andy Butlerのプロジェクト、Hercules & Love Affairが新たな2部作EP『Danseur』の前編をStratasonic Recordsよりリリースした。全4曲を収めた『Danseur PT 1』はすでに配信スタート。後編『Danseur PT 2』は9月10日にリリースされる。

レジデントDJのセットのように、物語は流れる

『Danseur PT 1』は「My Journey」で幕を開け、「I Get High」で高みへと押し上げ、「The Eyes of Love」でムードを落とし、Book of Loveのカバーでアイコニックなニューヨークのゲイ・バー、BoyBarへのオマージュで締める——その流れは、かつてこのEPが捧げる伝説的なクラブで鳴り響いていたレジデントDJの一夜をそのまま模している。全4曲にElín Ey率いるHips & Lipsがフィーチャリングとして参加し、昨年の『Someone Else Is Calling』プロジェクトで確立したParanoid LondonのQuinn Whalleyとの三者ケミストリーがここでも機能する。

ひとつの記憶から、次の記憶へ

Butlerが描くのはクィア・ライフの個人的な物語の連鎖だ。「My Journey」はカミングアウトという揺さぶるほど大きな経験を起点に持ち、「The Eyes of Love」はButler自身の人生から引き出された物語——二人の男が出会い、惹かれ合い、HIVの影がその蜜月を遮るまでの軌跡を描く。悲劇的でありながら、かすかな希望を手放さない。「Boy」はニューヨークのBoyBarへのトリビュート。後編に収録される「Night on the Town」は1960年代に誇り高く生きた二人の女性を描き、「Pirouette」はSOPHIEと長年の共同制作者Aerea Negrotへの追悼として全体を締め括る。

Tabooのレジデント、ブリッツ・キッド、そしてペット・ショップ・ボーイズ

このEPはTabooのレジデントDJ、Jeffrey Hintonに捧げられている。彼の個人アーカイブから提供されたアートワークが物理盤全体を彩り、Josh Quintonによるデザインのアートワーク中にはHinton本人と、ブリッツ・キッドにしてVISAGEの「Fade to Grey」で知られるアイコン、Princess Juliaがアンディとの対談という形で登場する。さらにペット・ショップ・ボーイズとの対談も収録され、シンセサイザー音楽が彼らと世界に何をもたらしたかが語られる。

Butlerがここで試みているのは単なるノスタルジーではない。ブリッツ、タブー、BoyBar——あの時代の空気を作り上げた当事者たちを現在の作品に招き入れることで、過去と現在を生きた回路でつなぐ行為だ。それはフランキー・ナックルズへのリスペクトとも、ANOHNIとの邂逅とも連続する、Hercules & Love Affairというプロジェクトが20年近く一貫して問い続けてきた姿勢の発露でもある。

Hercules & Love Affair『Danseur PT 1』配信中 Stratasonic Records
『Danseur PT 2』9月10日リリース(Faris Badwan of The Horrors、Albrecht Van Doornik参加)

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