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[連載:リスナーの記憶装置]第6回:そしてフィジカル再評価の今──「触れる音楽」がもたらすもの
データの海を泳ぎ疲れた私たち Spotify、YouTube、Apple Music……音楽はあらゆる場所に満ちている。けれど、その無限の再生環境に、どこかで私たちは耳だけを残して、身体を置き去りにしてきたのかもしれない。 もう、音楽を「買う」必要はない。それは便利... -
[連載:ブラジル音楽の地図]第7回:アマゾンの音、内陸のビート──北部ブラジルの音楽地図
ブラジルの音楽は、ただのジャンルやリズムの集まりではない。それは広大な国土に根を張る無数の文化の交差点であり、歴史的な重層性と現代的な革新が常に交錯しているダイナミックな音の海だ。本シリーズでは、サンバの起源から現代のクラブシーンに至る... -
[妄想コラム]もしもジャンルが消えたなら ── 音楽の“届け方”はどう変わるか
音楽のジャンルとは、いわば世界を理解するためのラベルである。「これはロックだ」「この曲はテクノだ」「これはフォークの流れを汲んでいる」といった言葉は、音楽を語る際の道標として機能してきた。そして、それは同時に発信のための“タグ”でもあった... -
[連載:GROOVEの錬金術]第2回:アシッドジャズの誕生──“Acid Jazz Records”とロンドンの熱狂
前回、「アシッドジャズ前夜」と題して、1980年代後半のロンドンにおけるレア・グルーヴの再評価、DJ文化の知的進化、そしてクラブという場の機能変化を確認した。音楽的にも文化的にも準備は整っていた。では、“アシッドジャズ”とは一体どこで、どのよう... -
[連載:FUNK IS POWER]第1回:ファンク誕生──R&Bからの分離とジェームス・ブラウンの革命
ファンクは単なるダンス・ミュージックではない。それは人種、政治、スピリチュアリティ、そして大衆文化が複雑に交錯する音の運動体であった。本連載では、ジェームス・ブラウンの革新に始まり、スライ&ザ・ファミリー・ストーンによるユートピア的ヴィ... -
[音楽語源探偵団]Vol.6:「Make It Funky」── 誰が“ファンキー”を言い始めたのか?
音楽ジャンルとしての「ファンク(Funk)」や「ファンキー(Funky)」という言葉を、われわれは今日、当たり前のように使っている。しかし、そもそもこの“臭そうな”言葉は、いったい誰が言い始めたのだろうか。少なくとも、白いスーツに身を包んだクラシッ... -
[連載:リスナーの記憶装置]第5回:Spotifyと“ながら聴き”の快楽
音楽は、今やどこでも、いつでも手に入る時代に突入した。Spotifyがもたらした“サブスク”の波は、私たちの音楽との付き合い方をさらに自由にし、“ながら聴き”という新しい音楽体験を私たちにもたらした。車の中でも、仕事中でも、運転中でも──音楽はただの... -
[妄想コラム]演歌ブルース幻想 ── もしも“こぶし”のルーツがミシシッピにあったなら
序章:「恨み節」と「ブルース」は似ている 「演歌は日本のブルースである」という言い回しは、音楽好きのあいだで度々交わされるジョークのようなものだ。だが、これは実に的を射た観察でもある。演歌の根底にあるのは“情念”であり、ブルースの根底にある... -
[連載:ブラジル音楽の地図]第6回:街角の声、現代ブラジルのヒップホップとファヴェーラビート
ブラジルの音楽は、ただのジャンルやリズムの集まりではない。それは広大な国土に根を張る無数の文化の交差点であり、歴史的な重層性と現代的な革新が常に交錯しているダイナミックな音の海だ。本シリーズでは、サンバの起源から現代のクラブシーンに至る... -
[連載:GROOVEの錬金術]第1回:アシッドジャズ前夜 ── UKクラブカルチャーの胎動
1980年代後半、ロンドンの片隅でひとつの音楽的実験が静かに芽吹いていた。それは、ジャズ、ファンク、ソウル、ラテン、さらにはヒップホップの要素までもを巻き込み、DJカルチャーのフィルターを通して生まれ変わろうとしていた。後に「アシッドジャズ(A...