音は国境を越え、記憶になる ── 菅野よう子「地球出没?」プロジェクト始動、NYで5,000人を揺らす

アニメ、映画、ゲーム――あらゆるメディアを横断して音楽の地平を拡張してきた作曲家・プロデューサー、菅野よう子が、新たなグローバルライブ構想「地球出没?プロジェクト」を始動した。サポートを務めるのは、東京発のカルチャー発信拠点TOKYO MX。その第一弾として開催されたニューヨーク公演は、2日間で5,000人超を動員し、世界規模での存在感を改めて証明する幕開けとなった。

『カウボーイビバップ』の記憶がNYで再起動

初日、ブルックリンの劇場を舞台に行われた「SEATBELTS」公演では、COWBOY BEBOPの象徴的楽曲「TANK! Extended」を筆頭に、「Rain」「Call me Call me」「Blue」などが次々と披露された。

ゲストにはギタリスト/シンガーのSteve Conteが参加。さらに、本田雅人(Sax)、今堀恒夫(Gt)、佐野康夫(Dr)といったオリジナルメンバーに加え、現地ミュージシャンによるホーンセクションが重なり、20曲以上に及ぶセットが圧巻のスケールで展開された。映像は監督渡辺信一郎の世界観と共鳴し、音とビジュアルが一体となるライブ体験を創出した。

ピアノが紡ぐ“個の宇宙”──「PIANO ME」の深化

翌日の「PIANO ME」公演では一転、ピアノを中心に据えた内省的なアプローチへ。
「TANK!」や「PIANOBLACK」の再構築に加え、攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEXの名曲「Inner Universe」が、故Origaの歌声と同期する形で披露され、観客の感情を深く揺さぶった。

さらにScott Matthew、再び登場したSteve Conte、そして現地ゴスペルコーラスとの共演により、音楽は個から集合へと広がっていく。ビジュアル面では真鍋大度らが参加し、音と映像が有機的に絡み合う空間を生み出した。

言葉を超えた“共鳴”という体験

公演のハイライトのひとつが、観客による「The Real Folk Blues」の大合唱だった。日本語の歌詞がそのままニューヨークの空間に響き渡る光景は、音楽が言語を越え、人生の一部として共有されていることを象徴する瞬間だった。

菅野自身も「言葉の壁のさらに先で、聴き手と深く結ばれた」と語るように、この2日間は単なるライブを超えた“共鳴の場”となった。

東京発、世界へ ── 新たなフェーズへ

TOKYO MXが掲げる「東京発、世界へ」というビジョンのもと始動した本プロジェクトは、今後さらなるグローバル展開を予定している。

音楽、アニメ、映像、そしてライブパフォーマンス。それらすべてを横断しながら、菅野よう子は新たなフェーズへと踏み出した。

“地球出没”という言葉が示す通り、その音はこれからも世界各地に現れ、誰かの記憶を更新し続けていくはずだ。

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