
昭和から平成にかけて、日本の名曲を足元から支えてきた名うてのベーシストたちに迫る一冊『ニッポンの低音名人 日本ポップスの進化と、それを支えてきた名ベーシストたち』が、2025年6月17日にリットーミュージックより発売される。
本書は、2018年から2021年にかけて同誌で連載された「ニッポンの低音名人」に大幅な加筆・修正を加えたもの。岡沢章、小原礼、伊藤広規ら、日本ポップスの屋台骨を支え続けた14人のベーシストたちが、自身のキャリアや哲学を語る濃密なドキュメントである。

読みどころは、ベーシスト本人の証言のみならず、彼らと音楽を作り上げてきた関係者──山下達郎、高橋幸宏、大野雄二、こだま和文、甲斐よしひろら──の証言も多数収録されている点にある。演奏の裏側にある人間関係や制作現場の空気までが伝わってくる構成は、音楽ファンならずとも惹き込まれる内容となっている。
また、掲載されている写真も書籍化にあたり大幅にアップデート。本人提供による貴重なカットの数々に加え、彼らの“愛器”とも言うべきベースの紹介や、詳細な参加作品データベースも網羅されており、資料的価値も高い。
まさに、ベーシストという視点から見た“もうひとつの日本音楽史”とも言える本書は、時代ごとの音像の変遷や、スタジオ・ミュージシャンという職業の奥深さを改めて照らし出す。音楽を聴く耳を持つすべての人に届けたい、圧巻の一冊である。

書籍情報
- 書名:ニッポンの低音名人 日本ポップスの進化と、それを支えてきた名ベーシストたち
- 著者:坂上晃一
- 定価:3,300円(税込)
- 発売日:2025年6月17日
- 発行元:リットーミュージック
- 商品情報ページ:https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3124318001/
登場ベーシスト一覧(順不同)
- 岡沢章
- 富倉安生
- 小原礼
- 川上シゲ
- 伊藤広規
- 松原秀樹
- 美久月千晴
- 高橋ゲタ夫
- バカボン鈴木
- 岡沢茂
- 長岡“ミッチー”道夫
- 渡辺直樹
- 六川正彦
- 田中章弘
「低音の名人」たちが語る日本ポップスの裏面史──この一冊から、音楽の聴こえ方がきっと変わる。