
ニューヨークのカルト的プロデューサー、Galcher Lustwerkが今年2月にリリースしたEP『Vestibule』。温もりを帯びたパーカッション、内省的なリリック、ほのかに宇宙を漂うシンセが絡み合う3曲をめぐり、今度はアンダーグラウンドの精鋭4人がそれぞれのメスを入れた。Ricardo Villalobos、Skee Mask、Saoirse、Yaleesa Hallによるリミックスを収めた『Vestibule Remixes』EPがStrataSonicよりリリースされた。
Ricardo Villalobosが「前室」を迷宮に変える
オープニングを飾るのはチリ出身のRicardo Villalobos。何時間にもわたる伝説的なDJセットと、ジャンルの境界を軽々と溶かすプロダクションで現代ダンスミュージックの生ける神話となった彼が、「Vestibule」をじわじわと蠢くミニマルな催眠へと再構築する。さらに収録されるアトモスフェリック・ミックス”VOLPAT Cut”では、同じ素材がまったく異なる温度と濃度を帯びて姿を現す。

Ilian TapeのSkee Maskが描く無重力の夢
Ilian Tapeとの親密な関係でも知られるSkee Maskは、ヴォーカル入りとインストゥルメンタルの2バージョンで参加。渦巻くテクスチャーと重力を失ったパッドが原曲の輪郭をじわじわと崩し、歪んだドラムに牽引されながら広大な夢景色へと引き込まれていく。その静けさの中に確かな暴力性が宿っている。

SaoirseとYaleesa Hallが「Shorty Out」を夜の深部へ
「Shorty Out」のリミックスを担うのはSaoirseとYaleesa Hallの2人だ。Body Movementsの共同創設者としても知られるアイルランドのSaoirseは、ハウス、ガラージ、エレクトロ、ベースを横断するジャンル無頼の感覚を発揮し、Lustwerkのスモーキーなボーカルをピーク・タイム向けのフロア・アンセムへと昇華させる。鋭く走るシンセと締まったパーカッションが、深夜のクラブルームを一気に塗り替える一曲だ。
一方、Will & Inkレーベルを拠点に活動するオランダ出身のYaleesa Hallは、グリッチとロウエンドのエレクトロ感覚で同曲をさらに暗い深海へと引きずり込む。アトモスフェリックでありながら確かな圧力を持つそのリフィックスは、テクノの前衛にいる彼の審美眼が凝縮されている。
アンダーグラウンドの地層を掘り起こすコラボレーション
ヘイジーなハウス・グルーヴとヒップホップ的なストーリーテリングを融合させ、独自の語り口を持つプロデューサーとして地下シーンに確固たる地位を築いてきたGalcher Lustwerk。今回のリミックスEPは、彼の原曲が持つ密度と余白の豊かさを改めて証明すると同時に、現代のアンダーグラウンド・ダンスミュージックに生きる4人の個性が鮮やかに交差する場となっている。

『Vestibule Remixes』EP は現在、全プラットフォームにてストリーミング・配信中。
Buy / Stream: Galcher Lustwerks – Vestibule Remixes
https://orcd.co/vestibuleremixes
