
ロンドンのクラブカルチャーを象徴するシリーズに、またひとつ強烈な個性が刻まれた。
テルアビブ発のデュオ Red Axes が、名門シリーズ「fabric presents Red Axes」に登場。全16曲で構成されたミックス&コンピレーションが、fabric Records よりリリースされた。
新曲やエクスクルーシブ・エディット、そして電子音楽史を横断するセレクションが交差する本作は、単なるDJミックスの枠を超えた“物語”として機能している。
25年の歴史に連なる、新たな語り部
「fabric presents」シリーズは、四半世紀にわたり最前線のアーティストによるキュレーションを提示してきた。
これまでに The Martinez Brothers、Andrew Weatherall、Surgeon、The Streets などが名を連ねてきた、クラブミュージックの重要アーカイブだ。
そこに加わったRed Axesは、長尺的でストーリーテリング性の高いセットを得意とする存在。本作でも、その“時間を編む”ようなアプローチがシリーズの哲学と見事に共鳴している。
サイケデリックに揺らぐ新曲「Time To Take It」
本作と同時にリリースされた新曲「Time To Take It」は、Red Axesの真骨頂とも言える一曲だ。
ゆっくりと熱を帯びていくスローバーニングな展開、歪んだメロディ、そしてフロアをじわじわと侵食するサイケデリックなグルーヴ。
ポストパンクやクラウトロック、アシッド、コズミックディスコといった要素を溶かし込みながら、“人間的な揺らぎ”をあえて残したサウンドは、彼らならではの質感を際立たせている。
エレクトロニックの系譜を横断する16トラック
コンピレーションには、A Guy Called Gerald をはじめとするレジェンドから、カルトな存在まで幅広いアーティストが参加。
さらに自身の楽曲やリミックスも随所に織り込みながら、ミニマル、アシッド、ブレイクス、ディスコといった多様な要素をシームレスに接続していく。
その流れは単なるプレイリストではなく、フロアの空気や時間の経過を再構築する“ナラティブ”として機能する。
ダンスフロアにおける“物語性”
Red Axes は、Dori SadovnikとNiv Arziによるデュオ。ポストパンクやアシッド、クラウトロックを背景に持つ彼らの音楽は、無機質な電子音に“人間らしさ”を宿す独自のスタイルで知られる。
これまで Panorama Bar、De School、Bassiani、Dekmantel、Sónar、Primavera Sound といった世界各地の重要拠点に出演。
そのセットは、テンションや空間、感情の流れを丁寧に構築することで知られている。
“fabric”で更新される現在地
今回のリリースにあわせて、Red Axesはロンドンの名門クラブ fabric にてパフォーマンスも予定されている。前作の「fabric presents」を手がけた DJ Tennis との共演という文脈も含め、シリーズの流れを継承しつつ新たな局面を提示する一夜となりそうだ。
『fabric presents Red Axes』は、過去と現在、そしてダンスフロアの記憶をつなぎ直す作品だ。
音を並べるのではなく、“時間をデザインする”という発想。
その本質が、16のトラックを通して静かに、しかし確実に浮かび上がってくる。

Buy/Stream: fabric presents Red Axes
