産業遺産の夜にロマンスと実験が交差する ── 2026年の<Flow Festival>、新章を彩る追加ラインナップ発表

フィンランド・ヘルシンキのポストインダストリアルな聖地スヴィラハティ発電所跡を舞台に開催されるFlow Festivalが、2026年8月14日〜16日の開催に向けた追加ラインナップを発表した。世代も地域もジャンルも横断するこのフェスは、アンダーグラウンドの革新者から現代のポップ・アイコンまでを一堂に集め、都市の文化的鼓動を三日間に凝縮する場として進化を続けている。

儚さと陶酔を往復するポップの詩人たち

新たに名を連ねたのは、スカンジナビアを代表するシンガーソングライター“リッキ・リー”。『Youth Novels』の繊細なミニマリズムから『I Never Learn』のノワール・ポップまで、失恋の感情を壮大なポップスへと昇華してきた彼女の音楽は、夏の終わりの夜と理想的な共振を見せるだろう。

さらに、ブラジルの作曲家アルトゥール・ヴェロカイがAUKSOオーケストラとの特別公演で出演。1972年のセルフタイトル作が世代を超えて愛される彼のシネマティックなアレンジは、フルオーケストラによって新たな生命を得る。弦楽の豊穣さ、ジャズ・ファンクの律動、そしてサイケデリックな魂が、ヘルシンキの夜に壮麗なトリップをもたらすはずだ。

一方、シェフィールドから登場した電子音楽の異端児キャバレー・ヴォルテールもラインナップ入り。テープループやドラムマシン、政治的イメージを用いた過激な実験は、テクノやEBMなど後続ジャンルの礎となった。そのラディカルなビジョンは、数十年を経た現在もなお鋭い予言性を帯びている。

グローバル・アヴァンギャルドとフィンランドの現在形

1月に発表されたブルックリンのアートロック・バンド“ギース”に続き、今回の追加発表ではフィンランド勢の存在感も際立つ。R&Bとメロディック・ラップをローカルな感性で再解釈するビジ、きらめく憂いを湛えたポップで独自の地位を築くマーラ、そして実験的エレクトロニクスと感情的ソングライティングを横断するケイジュらが、北欧の新しい表現領域を体現する。

さらに、鋭利なリリシズムとアンセミックなオルタナ・ロックを併せ持つ国民的アーティスト“オラヴィ・ウーシヴィルタ”も出演。国際的な先鋭性とローカル・カルチャーの心臓部が同時に鳴り響く点こそ、Flowの魅力の核と言える。

シーンが交わる“流動”のフェスティバル

オーケストラルなブラジリアン・サイケデリアからインダストリアル・エレクトロニクス、北欧ポップの叙情からジャンル横断型の新世代まで――2026年のラインナップは、絶え間ない創造的対話の縮図となっている。発電所跡という産業遺産の空間は、過去と未来を接続する象徴的な舞台であり、音楽、アート、フード、コミュニティがシームレスに溶け合う独自の生態系を形成する。

2004年の小さなクラブイベントから出発したFlow Festivalは、いまや3日間で約9万人を動員する先駆的フェスへと成長した。多様性、持続可能性、そして芸術的自由を掲げ続けるその姿勢は、2026年のプログラムにも明確に反映されている。ロマンスと実験精神、祝祭と発見が交差する三日間 ── Flowは今年も、都市と音楽の関係を更新し続ける。

August 14-16, 2026 | Helsinki, Finland
https://www.flowfestival.com/

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