
グラミー賞受賞歴を誇るハウスミュージック界のレジェンド、Roger Sanchez(ロジャー・サンチェス)が、ニューアルバム『Spectrum Refracted』を2026年10月16日に自身のレーベル〈Stealth Records〉からリリースした。約20年ぶりのスタジオアルバムとして今年6月に発表した『Spectrum』を新たな視点で再構築した本作には、ニューヨーク・ハウスの巨匠David Moralesによるリミックスや、元Spice GirlsのMelanie Cをフィーチャーした楽曲の新バージョンなど全6曲を収録。さらにEManを迎えた未発表の新曲「Feel Free」も収められている。イビサの名門クラブPachaでのレジデンシーを彩ったトラックを中心に、Sanchezの現在進行形のハウス・サウンドを凝縮した一作だ。
20年ぶりのアルバム『Spectrum』が、もうひとつの姿に生まれ変わる
2026年6月にリリースされた『Spectrum』は、Roger Sanchezにとって約20年ぶりとなるスタジオアルバムだった。その作品を新たな角度から捉え直したのが、今回の『Spectrum Refracted』だ。
タイトルにある「Refracted」は、光が屈折することを意味する。プリズムを通過した光が異なる色彩を見せるように、同じ楽曲でもアレンジやリミックスによってまったく違う表情が生まれる。そんな発想が本作のコンセプトとなっている。
収録されるのは、オリジナルアルバムから選ばれた5曲のリミックスと、新曲「Feel Free」の全6トラック。いずれもSanchezが2026年夏のDJセットでプレイしてきた楽曲を中心に構成されている。
Sanchezは本作について、次のようにコメントしている。
「これらのリミックスとEManとの未発表曲は、この夏ずっと僕の秘密兵器だった。イビサのPachaで開催した『Flower Power』のレジデンシーや、ヨーロッパ各地でプレイしてきたんだ。プリズムを通った光が屈折して見え方を変えるように、これらのバージョンはアルバム『Spectrum』を別の角度から体験するためのものなんだ」
オリジナル作品の世界観を保ちながら、ダンスフロアで培われた新たな解釈を加える。そこには、長年クラブシーンの最前線で活動してきたSanchezならではの視点が反映されている。
David Moralesが参加、Melanie Cとの楽曲も新たなクラブ仕様に
本作で注目を集めるのが、同じニューヨークのハウスシーンを代表するDavid Moralesによるリミックスだ。Moralesが手がけたのは、Aaron SevillaとKristen Knightが参加した「Canto Al Amor」。グラミー賞受賞歴を持つ2人のレジェンドが、ひとつの作品で交差することになる。また、Sanchez自身も「Flower Power Remix」として2曲を再構築している。
ひとつは、イギリスのシンガーKaren Hardingとの「How Do We Say Goodbye」。もうひとつは、Spice Girlsのメンバーとして世界的な成功を収め、ソロアーティストとしても活動を続けるMelanie Cとの「I Don’t Wanna Know」だ。
これらのリミックスは、Sanchezが今夏Pacha Ibizaで展開した同名のレジデンシー「Flower Power」でも繰り返しプレイされ、フロアを盛り上げてきた。
さらに、Low SteppaとRagdollが参加した「Temptation」はDani Masiがリミックス。「I Don’t Wanna Know」には、Serdar GuvenとAhmed Ahmedovによる別バージョンも収録されている。
後者の2人は、Beatportと共同開催された世界規模のリミックス・コンペティションの優勝者。数百もの応募作品の中から、SanchezとMelanie C自身によって選ばれた。ベテランの実力派から新たな才能まで、異なる世代のプロデューサーが参加している点も、本作の興味深い特徴と言えるだろう。
イビサの夏を彩った新曲「Feel Free」、EManとのコラボレーション
アルバムのオープニングを飾る「Feel Free」は、本作唯一の完全新曲だ。フィーチャリングには、ニューヨークを拠点に活動し、Run Bklyn Trax CompanyとLiberate Recordingsを主宰するプロデューサー/DJのEManを迎えている。
この楽曲も、Sanchezが夏のレジデンシーやヨーロッパ各地のDJセットで披露してきた未発表トラックのひとつ。『Spectrum Refracted』の幕開けを飾る重要なナンバーとして位置づけられている。
2026年夏、SanchezはイビサのPachaで「Flower Power」のレジデンシーを展開。10月10日にはMK、LAEETとともにクラブのグランド・クロージング・ウィークエンド初日を飾り、そのシーズンを締めくくった。
今回のリリースは、そうした夏のクラブ体験を作品として記録する意味合いも持っている。
「Another Chance」から25年、進化を続けるハウスミュージックの象徴
Roger Sanchezは、ニューヨーク・クイーンズ地区コロナ出身のDJ/プロデューサー。30年以上にわたってハウスミュージックの第一線で活動し、これまでに2,000曲以上のオリジナル作品やリミックスを手がけてきた。
その音楽的なルーツは、ニューヨークのヒップホップ・カルチャーにある。
若き日のSanchezはBボーイやグラフィティ・アーティストとして活動し、レコードを掘りながら独自の音楽的感性を磨いていった。ブロードウェイの路上でミックステープを販売してDJ活動の資金を稼ぎ、その後、プラット・インスティテュートでの建築の学業を離れて音楽の道へ進んだという経歴を持つ。
2001年には代表曲「Another Chance」が全英シングルチャート1位を獲得。2003年にはNo Doubtの「Hella Good」のリミックスでグラミー賞の最優秀リミックス・レコーディング賞を受賞した。
リミックスの実績も華々しく、Michael Jackson、The Police、Diana Ross、Jamiroquai、Maroon 5など、ジャンルを超えたアーティストの作品に携わっている。
自身のレーベル〈Stealth Records〉を設立したほか、長寿ラジオ番組「Release Yourself」も主宰。同番組は30以上の市場で2,000万人を超えるリスナーに届けられ、2007年にはInternational Dance Music Awardsで初のベスト・ポッドキャスト賞を受賞した。
イビサでも2000年以降、Space、Cream、Glitterbox、Defected、Pacha、Amnesiaなど、名だたるクラブやパーティでレジデンシーを経験してきた。
そんなSanchezにとって、『Spectrum Refracted』は単なるリミックス集ではない。約20年ぶりのアルバム『Spectrum』で提示した音楽を、実際のダンスフロアで進化させた、もうひとつの作品なのだ。
かつて「Another Chance」で世界中のクラブを熱狂させたRoger Sanchezは、今もなお新しいグルーヴを探し続けている。ハウスミュージックの伝統と未来をつなぐ、その探求の現在地が『Spectrum Refracted』に刻まれている。

RELEASE INFORMATION
Roger Sanchez – Spectrum Refracted
リリース日:2026年10月16日
レーベル:Stealth Records
ジャンル:House / Dance
TRACKLIST
- Roger Sanchez feat. EMan – Feel Free
- Roger Sanchez & Karen Harding – How Do We Say Goodbye (Roger Sanchez Flower Power Remix)
- Roger Sanchez feat. Melanie C – I Don’t Wanna Know (Roger Sanchez Flower Power Remix)
- Roger Sanchez, Aaron Sevilla & Kristen Knight – Canto Al Amor (David Morales Wepaaa Remix)
- Roger Sanchez, Low Steppa & Ragdoll – Temptation (Dani Masi Remix)
- Roger Sanchez feat. Melanie C – I Don’t Wanna Know (Serdar Guven & Ahmed Ahmedov Remix)
配信・試聴
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