
ドイツ生まれ、ロンドン拠点のプロデューサーChris Avantgardeが、自身のレーベルHyperrealより待望のデビューアルバム『Hyperreal』をリリースした。18曲にわたってクラブ・ミュージックの可能性を徹底的に問い直したこの作品は、映画音楽的な精密さとフロアへの機能性を共存させた、ひとつの宣言だ。
「Origin」から始まる、18章の旅
アルバムは「Origin」という名の幕開けから、静かに、しかし確実に深みへと引き込んでいく。「Belter」「Jester」が衝動と落ち着きのなさを注入し、「Where Do You Go」「Elysium」が緊張と解放の波を生み出す。アルバムの核心に位置するのは、Adam Beyerとの共作「Desolate Lands」 ── ふたりの本能が合流したこのトラックは、圧倒的でありながら精緻にコントロールされた、アルバム最大の山場を形成する。「All Is Good」「Like I Do」で着地するクロージングに至るまで、『Hyperreal』は一本の映画を観るような、緻密に設計されたシーケンスとして機能している。
すでに先行リリースされた「Rhythm Check」「Concrete Professional」「Obsessed」「The Other Side」(Eddie Thoneick、Kisch参加)「Down For The Night」(Poté参加)「Dale」「Energy」を含む全18曲は、テクスチャー、アトモスフィア、ダイナミクスのコントラストをクラブ・ミュージックに欠かせない要素として真剣に扱うChris Avantgardeの審美眼によって一本の線に貫かれている。
フロアと作曲、その境界を消すために
Adam Beyer、Anyma、Argy、CamelPhat、Joseph Capriati、Massano、Vintage CultureからArmin van Buuren、David Guetta、John Summit、Martin Garrix、Tiëstoまで、ジャンルをまたいだ幅広い支持が示すとおり、Chris Avantgardeの音楽はある特定のフロアにしか機能しない類のものではない。感情を軸に据えながら、サウンドの振れ幅はどこまでも広い。
彼が拠って立つのは「クラブ・ミュージックと作曲の深度は別々の世界に存在するという思い込みを覆す」という哲学だ。映画音楽の制作と同じような水準の匠の技を電子音楽に持ち込み、すべての音響的判断が体験全体に奉仕するよう組み立てる ── その姿勢はレーベルHyperrealのキュレーション方針にも反映されており、『Hyperreal』はアーティストとしての個人作品であると同時に、レーベルの哲学を体現した声明でもある。
夏のステージは続く
アルバムリリース直後の12日にはAwakenings(オランダ)に登場し、25日にはTomorrowland(ベルギー)、7月末はIbizaのUNVRSへ。8月はGdanskのÆden、アムステルダムのLoveland、IbizaのResistanceへとヨーロッパのフェスティバル・シーズンを駆け抜け、9月にはシカゴのARC Music Festival、ダラスのIt’ll Doとアメリカへと渡る。

『Hyperreal』は全プラットフォームにてストリーミング・配信中。
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