坂本龍一、32歳の“東京”がよみがえる──幻のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』、4Kレストア版として劇場公開へ

1984年、若き日の“教授”が見つめた都市の音

1985年の制作から40年を経て、世界的音楽家・坂本龍一の若き日を捉えたドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』が4Kレストア版として蘇る。公開日は2026年1月16日(金)。このたび、本予告映像が解禁された。映像は、監督エリザベス・レナードが日本で購入した“音の鳴るおもちゃのカメラ”を坂本が興味深そうに手に取るワンシーンから始まる。時は1984年5月 ── 32歳の坂本が、東京の街にあふれる<音>を捉え、思索する姿が生々しく映し出されていく。

「音楽というのは非日常的な時間のために作られたと思うんだけども、現在の日本のようにいたるところに音楽があるということは、裏を返せば“非日常的な時間が日常的に続いている”というふうに言えるんじゃないかな」

インタビューで語られるこの言葉は、80年代の東京を照射しながら、時代の流れと音楽の置かれた立ち位置を鋭く掘り下げる。

『音楽図鑑』の制作現場、そして“街の音風景”

映像には、制作途上にあったアルバム『音楽図鑑』のレコーディング風景も収められている。Fairlight CMIによるサンプリング、ループ生成、モニター上で視覚化されていく音のプロセス ── 今なおモダンに感じられる制作の瞬間が、フィルムに息づいている。さらに「M.A.Y. IN THE BACKYARD」や『戦場のメリークリスマス』のテーマ<Merry Christmas Mr. Lawrence>のピアノ演奏、YMO散開コンサート、矢野顕子との連弾「東風」など、貴重な記録が続く。

渋谷スクランブル交差点、新宿アルタ、原宿の竹の子族、家電量販店、パチンコ屋、祭りの囃子……80年代の東京の息遣いとともに刻まれた坂本の姿は、都市が奏でる多層的な音を“素材”として受け止め、未来へと変換していく音楽家のポートレートである。

1週間で撮影、40年の眠りを破り、ついに劇場へ

本作の撮影は1984年5月、東京でわずか1週間という短期間で敢行された。完成後はロッテルダム、ロカルノ、サンパウロなど国際映画祭で上映され、日本では1985年の第1回東京国際映画祭で公開。1986年にフランスでテレビ放映されたのち、VHS/DVDは長らく入手困難となっていた。近年、倉庫から16mmフィルムが発見され、修復・デジタル化が実現。2025年1月、坂本の誕生日に行われた特別上映ではチケットが2時間で完売し、大きな反響を呼んだ。

若き日の“教授”と80年代東京が残した、音の記憶

幼少期の記憶、社会の変化、創作の原点、そして未来への視線 ── 62分の映像には、坂本龍一の思考と感性がそのまま刻まれている。都市と音楽、個人と社会、そのあいだに揺れる若き日の坂本は、私たちが知る“世界的音楽家”へと向かう途上にいた。その瞬間を捉えた本作は、単なる記録ではなく、時代の音をめぐるひとつの“メロディ”として再び響き始める。

ムビチケは11月21日より発売

11月21日(金)からムビチケカードおよびオンライン券が販売開始。カード購入者には、新宿アルタの大型ビジョンを背景に立つ坂本を捉えたオリジナルポストカードが付属する。

『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4K レストア版

監督:エリザベス・レナード
出演:坂本龍一、矢野顕子、細野晴臣、高橋幸宏
1985年/62分/日本・フランス
2026年1月16日(金)より全国順次公開

公式サイト:https://tokyomelody.com/
公式X:https://x.com/TokyoMelody_4K

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