ビクトル・エリセ特集──31年ぶりの最新作『瞳をとじて』配信開始、『ミツバチのささやき』他もHDリマスター登場

洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」が手がける配信サービス【ザ・シネマメンバーズ】は、スペイン映画の巨匠ビクトル・エリセ監督を特集し、9月より最新作『瞳をとじて』を配信する。1992年の『マルメロの陽光』以来、31年ぶりとなる長編映画であり、監督にとって通算4作目の長編となる。

本特集では、エリセの長編第1作『ミツバチのささやき【HDリマスター版】』、第2作『エル・スール【HDリマスター版】』も合わせて配信。半世紀以上にわたり静謐な映像美で記憶と時間を描いてきた稀代の映画作家の軌跡を、最新作とともに一挙に振り返ることができる。

『瞳をとじて』──寡作の巨匠が沈黙を破った集大成

『瞳をとじて』(2023)は、元映画監督と失踪した親友をめぐる記憶のミステリーである。作品にはエリセ自身の人生や過去作、影響を受けた創作物への引用が散りばめられており、まさに集大成ともいえる仕上がりだ。特筆すべきは、『ミツバチのささやき』で少女アナを演じたアナ・トレントが半世紀を経て再びエリセ作品に出演していることである。

名作2作がHDリマスターで蘇る

  • 『ミツバチのささやき』(1973)
    妖精の存在を信じる少女の目を通して、現実と幻想が交錯する世界を描く詩的名作。純真なまなざしが観る者の記憶に深く刻まれる。
  • 『エル・スール』(1983)
    内戦の傷を心に抱える父と娘の関係を、絵画のように美しい映像で綴る。製作上の都合で短縮されたものの、エリセの美意識が凝縮された傑作である。

さらに広がる9月配信ラインナップ

本特集に加え、スペイン映画の新たな旗手ロドリゴ・ソロゴイェン監督の衝撃作『理想郷』、台湾ニューシネマの巨匠ホウ・シャオシェンによる傑作青春映画『恋恋風塵(HDリマスター版)』も配信。エリセ作品と並行して、異なる時代・地域の名作に触れられるラインナップとなっている。

配信スケジュール(2025年9月)

  • 9月6日~『理想郷』(監督:ロドリゴ・ソロゴイェン)
  • 9月13日~『瞳をとじて』(監督:ビクトル・エリセ)
  • 9月20日~『ミツバチのささやき【HDリマスター】』/『エル・スール【HDリマスター】』
  • 9月27日~『恋恋風塵【HDリマスター版】』(監督:ホウ・シャオシェン)

📺 詳細・視聴はこちら → ザ・シネマメンバーズ公式サイト


エリセが築き上げた映像の詩学を最新作とともに体験できる、まさに必見のプログラムである。ミニシアター文化を支える【ザ・シネマメンバーズ】ならではの選りすぐりのセレクトで、静かに心を揺さぶる映画体験を届けてくれるだろう。


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