
ECMを代表するギタリスト、ウォルフガング・ムースピールが、スコット・コリー(ベース)、ブライアン・ブレイド(ドラムス)とのトリオによる新アルバム『東京』を10月1日にリリースすることを発表した。輸入盤とデジタルは9月26日に先行発売され、先行トラック「Flight」が公開されている。
ビル・エヴァンス・トリオを想起させる“共感”のアンサンブル
ダウンビート誌が「ビル・エヴァンス・トリオのような共感がある」と評したこの編成は、長年にわたるツアーを通じて緊密な関係を築き上げてきた。タイトルが示す通り、本作は2024年に東京で録音された作品であり、同地でのスタジオ録音は2020年の『Angular Blues』以来となる。
アルバムはキース・ジャレットの「Lisbon Stomp」の解釈から幕を開け、ムースピールのオリジナル曲へと展開。バラード調の「Pradera」や「Travessia」、フォークの感触を湛えた「Strumming」「Flight」、室内楽的な「While You Wait」、さらにロックンロールの趣を持つ「Roll」など、多彩な楽曲が収録されている。ラストはポール・モチアン作「Abacus」の鋭い解釈で締めくくられ、ジャズとECMの系譜を鮮やかに浮かび上がらせる構成となっている。
フォークから現代ジャズまで横断するインスピレーション
ムースピールの作曲背景には幅広い音楽的参照がある。ディランやレナード・コーエンを想起させるシンプルなフォーク的アプローチ、サンティアゴ巡礼路を歩きながら生まれた「Travessia」、クルト・ヴァイルに捧げた「While You Wait」など、個人的体験と音楽史的要素が交錯している点も注目である。
本人は本トリオについて「ソロの場ではなく、すべてが絡み合いひとつの物語を形成する。最大の魅力は仲間との絶え間ない対話だ」と語っており、まさに三者の緊密な対話が作品全体を貫いている。

リリース情報
ウォルフガング・ムースピール
『東京』
- 日本盤リリース:2024年10月1日
- 輸入盤+デジタル:2024年9月26日
- 品番:UCCE-1218
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今秋のジャズ・シーンにおいて、『東京』はギター・トリオの表現力とECM的美学を堪能できる注目作となるだろう。