世界の「いわく」を巡る異色の旅──関根虎洸『迷宮ホテル』、8月26日発売

秘密結社、アヘン王、客家土楼、プラナカン、奴隷貿易、からゆきさん、マタ・ハリ……。
その土地の空気と因縁を凝縮したホテルや路地を10年以上かけて巡った濃密な世界旅行記が誕生した。

フリーカメラマン・関根虎洸が、2025年8月26日に辰巳出版から発売する新刊『迷宮ホテル』は、圧巻の写真160点超とともに、歴史と人間模様が絡み合う“世界のいわく”を体感させる一冊だ。

土楼の王から魔都のマフィア、香港のチョンキンマンションまで

旅は中国・福建省の世界遺産「客家土楼」から始まる。春節の熱気、伝統的な結婚式——観光ではまず踏み込めない瞬間をカメラに収めた。
タンザニア・ザンジバル島では、築180年のアラブ様式の部屋に宿泊。奴隷市場跡や“からゆきさん”が暮らした部屋も訪ね、記憶の奥に沈む歴史を掘り起こす。

上海では伝説のアヘン王・杜月笙をはじめ、魔都を支配した秘密結社の足跡を追跡。2019年の民主化運動期の香港では、世界中のバックパッカーが集うチョンキンマンションで現地の生々しい空気を記録している。

熱帯建築家ジェフリー・バワの理想郷を歩く

スリランカ編では「熱帯建築家」ジェフリー・バワが手掛けたホテルや邸宅を徹底取材。
内と外が溶け合う構造、美意識の詰まったディテール、そして現地の人々とのやり取りまで、建築を生き物のように描き出す。

深夜に象と遭遇する危険があるため送迎を断られたダンブッラ行きのエピソードなど、旅の裏側も臨場感たっぷりに綴られている。

マラッカ海峡、プラナカン文化と交錯する記憶

マレーシア、タイ、シンガポール、インドネシアへと続くプラナカン文化の旅では、中国・マレー・西洋が融合した生活文化をホテルや街並みを通じて描く。
かつての「億万長者通り」、映画『ザ・ビーチ』の撮影地、マタ・ハリが滞在したホテルまで、記憶と現実が交錯する。

書籍情報

著者プロフィール

関根虎洸(せきね ここう)
フリーカメラマン。1968年埼玉県生まれ。2001年『DOG&GOD』(情報センター出版局)、2012年『Chelsea・桐谷健太』(ワニブックス)、2018年『遊廓に泊まる』(新潮社)など。国内外の宿泊施設を多数取材。元プロボクサーでボクシングトレーナーとしても活動中。

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