「スピリチュアル・フィクションズ」──海野林太郎、王之玉、アレキサンダージュリアンによる三者展開催

新宿・歌舞伎町のアートスペース「デカメロン」にて、2025年9月5日から28日まで、海野林太郎、王之玉、アレキサンダージュリアンによる展覧会「スピリチュアル・フィクションズ(Spiritual Fictions)」が開催される。

本展は、異なる背景を持つ3人のアーティストが「スピリチュアル(精神性・霊性)」と「フィクション(創作)」というテーマに向き合い、それを現実逃避の装置ではなく、むしろ現実を確かめ直すための“回路”として提示する試みである。映像、オブジェ、華道、テキスト、インスタレーションなど多様なメディアを横断し、想像力と現実の間に生じるズレや重なりを浮かび上がらせる。

「スピリチュアル」を現実の回路として捉え直す

現代においてスピリチュアルな言説は資本や政治と結びつき、時に人々の判断力を奪う装置ともなり得る。出展アーティストたちはその危うさを自覚しつつも、スピリチュアルな想像力そのものを否定するのではなく、「現実を取り戻す回路」として再構築しようとする。

日常の違和感や言葉の空転から立ち上がる微細なエピソードを作品化し、それぞれが紡ぐ個別のフィクションを通じて、「見たことのない現実」の兆候を提示するのが本展の狙いである。

出展アーティスト

  • 海野林太郎(1992年生/美術家)
    新興宗教やゲーム、無人機などを題材に、映像・絵画・インスタレーションを制作。社会と個人の関係を探る実践を国内外で展開。
  • 王之玉(1999年生/美術家)
    中国・黒龍江省出身。「現代の錬金術師」を自称し、宗教・神話・科学を横断する象徴的モチーフを用いて、精神性を宿す場を創出。
  • アレキサンダージュリアン
    いけばな草月流師範。「闇花屋/FLOWER PUSHER」として活動。華道を基盤に、異質なモチーフを交えた独自の造形を展開。

会場「デカメロン」について

会場となる「デカメロン」は、2020年に歌舞伎町に開廊。ボッカッチョの同名の物語集にちなんで名付けられたスペースで、2階が展示空間、1階はバーとして機能し、アーティストと来場者が交差するコミュニケーションの場となっている。実験的な現代アートを紹介する拠点として注目を集めている。

展覧会概要

  • 展覧会名:「スピリチュアル・フィクションズ」
  • 会期:2025年9月5日(金)~9月28日(日)
  • 会場:デカメロン(東京都新宿区歌舞伎町1-12-4)
  • 営業時間:20:00~27:00(※9月13日のみ24:00まで)
  • 休廊日:月曜日
  • 公式HPhttps://decameron.jp/
  • Instagramdecameron_kabukicho

スピリチュアルな想像力を媒介に、精神と現実の新たな接点を探る「スピリチュアル・フィクションズ」。逃避ではなく再接続の手段としてのフィクションを提示する本展は、現代社会を批評しつつも未来への希望を静かに照らし出すだろう。

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