
欧州を拠点に国際的な評価を得る現代アーティスト、ナイル・ケティングが新作パフォーマティブ・インスタレーション「Blossoms – fulfilment」を発表する。会期は2025年9月11日(木)から15日(月・祝)まで、東京・天王洲の寺田倉庫 G3-6Fにて開催される。本展は、国内外のアート関係者が集う「TENNOZ ART WEEK 2025」の主要プログラムとして披露されるものであり、日本初公開となる。
倉庫空間と都市へ拡張するパフォーマンス
「Blossoms – fulfilment」は、2024年にリスボンで発表された「Blossoms」シリーズを発展させた新作である。ケティングはこれまでの活動の中で、倉庫をリハーサルやトレーニングの場として利用してきた経験から、倉庫を「身体やアイデンティティが再編される場」として位置づけてきた。本作では、寺田倉庫の歴史と空間を参照しつつ、身体が訓練され、編集され、やがて「商材化」される過程を描き出す。
さらに本作は展示空間を越えて都市空間に広がり、観客の知覚を揺さぶる体験を誘発する。歌舞伎の「サクラ」や西洋オペラの「Claque」に象徴される、観客行為の歴史的意味を参照しながら、現代における「鑑賞」という行為の特権性を儀式的に問い直す試みである。
アーティストの視点──「本物と偽物の区別を超えて」
ケティングは本作について次のように述べている。
「Blossomsで展開されるパフォーマンスは、もはや肉体の動きではない。広告や商品、データやオブジェクトといった断片が浮かび上がる人工的なネットワークにおいて、パフォーマンス性を問い直すものだ。本物と偽物の境界を見極めることに意味はない。その区別が曖昧な中で、何を感じ取り、どう関わるかが重要なのだ」

ナイル・ケティングについて
1989年鎌倉生まれ。ヴィデオ、パフォーマンス、サウンドを横断するインスタレーションで知られ、観客の五感に訴えかける環境を創出してきた。これまでにパレ・ド・トーキョー(パリ)、森美術館(東京)、**ポンピドゥー・センター × ウエストバンド美術館(上海)**などで作品を発表。ポンピドゥー・センターや高橋龍太郎コレクションに収蔵されるなど、世界的に注目される存在である。

開催概要
- 展覧会名:「Blossoms – fulfilment」
- 会期:2025年9月11日(木)~15日(月・祝)
- 時間:11:00~19:00(パフォーマンス 12:00~19:00)
- 会場:寺田倉庫 G3-6F(東京都品川区東品川2-6-10)
- 入場料:一般 1,500円/大学・専門学生 800円/高校生以下 無料
- チケット予約:ArtSticker
なお、寺田倉庫WHAT MUSEUMで開催される「諏訪敦|きみはうつくしい」とのセットチケット(一般2,500円)も販売される。
「TENNOZ ART WEEK 2025」は、国際水準のアートコンテンツを誘致することで、東京・天王洲を国際的なアートシティとして発信するイベントである。約3万人を動員した前回に続き、今年も寺田倉庫の6施設を会場に、多彩な展覧会やワークショップを通じて現代アートの最前線を紹介する。
ナイル・ケティングの「Blossoms – fulfilment」は、その中心を飾るにふさわしい実験的インスタレーションであり、現代社会における身体と鑑賞の意味を問いかける鮮烈な場となるであろう。