
株式会社青幻舎は、北アイルランド出身の写真家フィリップ・アーニールによる写真集『Tokyo Jazz Joints 消えゆく文化遺産 ジャズ喫茶を巡る』を2025年8月下旬に刊行する。2023年にドイツで出版され、イギリスの「The Guardian」やBBCなどにも取り上げられた本書が、ついに日本語版として登場する。
ジャズ喫茶を追いかけた3年の旅
ただの喫茶店でもバーでもない、音楽と真剣に向き合うための空間──「ジャズ喫茶」。静謐な空気の中で上質なジャズを浴びるように聴く体験は、日本独自の文化である。アーニールはこの魅力に取り憑かれ、アメリカ出身の放送作家ジェームス・キャッチポールとともに「Tokyo Jazz Joints」プロジェクトを始動。2015年、東京・蒲田の名店「直立猿人」を皮切りに、3年以上をかけて日本全国のジャズ喫茶とバーを訪ね歩いた。
その成果がまとめられたのが本写真集である。掲載店舗には、東京の「ジャズ喫茶いーぐる」「DUG」、岩手の「BASIE」、京都の「jazz spot YAMATOYA」といった名店から、今は閉店してしまった店までが含まれており、一軒一軒の空気や質感が写真に刻み込まれている。






日本語版ならではの仕様と追加テキスト
原書はドイツの出版社ケーラーからハードカバーとして刊行されたが、日本語版ではB5横長サイズのソフトカバー仕様に変更。コンパクトながら愛蔵したくなる仕上がりとなっている。さらに巻末には、アーニールによる書き下ろしテキストを収録。刊行から2年を経た心境、2025年の来日時の記録、今後の展望などが語られ、日本語版ならではの価値を加えている。
ジャズ喫茶への写真によるオマージュ
アーニールの視線が切り取るのは、日本人自身が見過ごしてきた文化の豊かさと独自性である。本書はガイドブックではなく、消えゆく文化へのオマージュとして編まれた記録であり、ジャズファンのみならずカルチャーに関心を寄せる読者にも強く訴えかけるものとなるだろう。






書誌情報
- 書名:『Tokyo Jazz Joints 消えゆく文化遺産 ジャズ喫茶を巡る』
- 著者:フィリップ・アーニール
- 判型:B5変(横長)/総176頁/並製
- 定価:4,180円(税込)
- 発売:2025年8月下旬(青幻舎)
- ISBN:978-4-86831-005-1
Amazonページ:Tokyo Jazz Joints 消えゆく文化遺産 ジャズ喫茶を巡る
日本のカルチャーの奥深さを記録した『Tokyo Jazz Joints』。失われつつある「音の場」を愛おしむ、そのまなざしに触れることは、私たちが未来に残すべきものを考えるきっかけとなるに違いない。