スペインの鬼才ROSTOを偲ぶ ── 末永賢監督による縦型オマージュ映像が完成、追悼上映「存在証明」が渋谷で開催

2019年に50歳の若さで急逝した映像作家ROSTOを追悼する特別上映〈存在証明〉が、8月16日(土)より東京・シアター・イメージフォーラムで開催される。本企画にあわせ、映画『頭脳警察50 未来への鼓動』で知られる映画監督・末永賢が手がけた縦型ショート・オマージュ映像12編が完成し、すべてを視聴できる特設サイトも公開された。

▶ 特設サイトはこちら

縦型で紡がれる“ROSTOの夢世界”

末永監督が制作した12編の縦型映像は、ROSTOの代表作『ニクスの怪物』と『四つの悪夢』に触発されたものである。ダークかつ幻想的な映像世界を土台に、テーマごとに詩的なメッセージを組み込んだ映像詩となっており、スマートフォン時代にふさわしい形でROSTOへのオマージュを表現している。

タイトルは「夢と現実」「孤独な骨を鳴らせ」「沈む迷宮」「冥界の囁き」など全12本。ROSTOが遺した想像力の断片を、末永監督の感性が縦型映像へと結晶させた。

ROSTO追悼上映「存在証明」の概要

今回の上映企画では、ROSTOの代表作を日本で初めて体系的に紹介する。ラインナップは以下の通りである。

  • 『四つの悪夢(Thee Wreckers Tetralogy)』(45分)
    幻のパンクバンド〈THEE WRECKERS〉の“存在しないアルバム”を映像化した4部作。ROSTOが15年をかけて制作した異形のミュージック・フィルム。
  • 『すべてが変わったようで、何も変わっちゃいない』(20分)
    ROSTOの創作人生を追った短編ドキュメンタリー。
  • 『ニクスの怪物(The Monster of Nix)』(30分)
    パペットとCGを融合させたミュージカル・アニメーション。テリー・ギリアムやトム・ウェイツが声の出演を果たし、ROSTOの代表作として語り継がれる。

上映時間は合計95分。チケットは一般1,900円、大学・専門学生および60歳以上1,400円、会員1,300円など。詳細はイメージフォーラム公式サイトを参照のこと。

末永賢監督からのメッセージ

「ROSTOと語り合う機会を失ったわけではない。彼の映像と音楽の中に言語を超えた対話がある。魂の微動は今も私たちの傍に振動している。しばし闇に身を浸し、その亀裂を覗き込んでほしい」

末永監督はそう語り、ROSTOの作品が今も生きていることを強調する。

限定豪華本“Mind My Gap”も入荷

上映会場および特設サイトでは、ROSTOが16年間にわたり展開してきたオンライン作品群をまとめた豪華本“Mind My Gap”も販売予定である。210ページに及ぶグラフィック・ノベルに加え、2枚のCDを収録した稀少な一冊であり、追悼上映とあわせて注目を集めそうだ。


ROSTOの死から6年。映像と音楽を越境し続けたその生涯と表現を追体験できる〈存在証明〉は、まさに彼の存在が今も生きていることを証し立てる企画である。

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