“ガールEDM”の旗手ニーナジラーチ ── デビューアルバム『I Love My Computer』で仮想世界と現実をつなぐ

オーストラリア出身の新進エレクトロニック・アーティスト、ニーナジラーチが、待望のデビューアルバム『I Love My Computer』を8月8日にリリースした。2024年のEP『girl EDM』で同国クラブシーンを席巻し、“ガールEDM”ムーブメントを牽引してきた彼女が、仮想世界と現実世界の境界線を押し広げる意欲作である。

コンピューターが育てたアーティスト

ニーナジラーチは、名前の由来をポケモンの“ジラーチ”から取り、櫻坂46「承認欲求」のリミックスを手がけるなど、日本でも注目を集める存在だ。アルバムタイトルについて彼女はこう語る。

「私は誰よりも長くコンピューターと過ごしてきました。コンピューターは私を育て、私が何者なのかを教えてくれました。地方都市出身で、エレクトロニックミュージックに触れる環境はありませんでしたが、コンピューターがあったからこそ今の私がいます」

彼女にとってコンピューターは楽器そのものであり、本作はその象徴ともいえる作品集となった。

2010年代へのオマージュと未来へのビジョン

『I Love My Computer』は、ダンス、ポップ、エレクトロを縦横無尽に行き来し、彼女が影響を受けた2010年代の音楽への敬意を込めつつ、現代的な感覚で再構築した内容だ。先行シングル「All I Am」「Fuck My Computer」「iPod Touch」「Infohazard」に加え、新録8曲を収録。

オープニング「London Song」ではコンピューターミュージックへの感謝を綴り、「CSIRAC」ではオーストラリア初のデジタルコンピューターへの想いを込める。フォーカストラック「Delete」ではSNS心理学をテーマに、“見てもらうためだけの投稿”という現代的儀式を描写している。

冒険的な音楽性と唯一のコラボレーション

アルバム唯一のコラボ曲「It’s You」では、ネット発の人気アーティストdaineを迎え、さらにダルシー・ベイリスがギターを加えたクロスオーバー的楽曲に仕上がった。アンビエント的な「Sing Good」や、感情を揺さぶる「Battery Death」など、彼女の幅広い音楽性も存分に味わえる。

世界的飛躍への布石

Laneway Festival、Lollapalooza、EDC、Beyond The Valley、Dark Mofoなどの大型フェス出演に加え、オーストラリア両海岸でのヘッドライナー公演を完売させるなど、その実力はすでに証明済み。本作『I Love My Computer』は、ニーナジラーチがグローバル舞台で確固たる地位を築く大きな一歩となるだろう。

リリース情報

  • タイトル:I Love My Computer
  • アーティスト:Ninajirachi
  • リリース日:2025年8月8日
  • レーベル:NLV Records
  • 配信リンク

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