現代ドリーム・ポップの新機軸 ── crushed、デビュー・アルバム『no scope』から新曲「cwtch」を公開

現代オルタナティヴ・ポップの新たな旗手として注目を集めるデュオ、crushed(クラッシュト)が、待望のデビュー・アルバム『no scope』を2025年9月26日にGhostly Internationalよりリリースする。それに先駆け、先行シングル第2弾「cwtch」が公開された。

crushedは、Temple of Angelsのブレ・モレルと、WeekendやTopographiesの活動でも知られるショーン・ダーカンによって結成されたドリーム・ポップ・デュオ。90年代のオルタナティヴやトリップホップ、ブリットポップ、USインディなどの要素を絶妙に織り交ぜながら、懐かしさと新しさを併せ持つ音世界を展開している。

セカンド・シングル「cwtch」は“帰る場所”をめぐるラブソング

新曲「cwtch(クッチ)」はウェールズ語で「温かく守られる抱擁」や「安全な場所」を意味する言葉。リード・ヴォーカルはダーカン、ハーモニーにはモレルが加わり、ファズ・ギター、くねるようなエレクトロニクス、甘くほろ苦いメロディーが織りなす、まさにcrushedらしい感情のカクテルとなっている。

「難しい感情を処理する方法を学ぶのが大きな挑戦だった。自滅的な場所に戻ることが、まるで“帰郷”のように感じられた」と、ダーカンは語る。


『no scope』──“無防備”であることの強さを描いたデビュー・アルバム

crushedにとって初のフル・アルバム『no scope』は、2023年に発表されたEP『extra life』を経て制作された作品である。日本盤にはその『extra life』の全6曲がボーナス・トラックとして収録される完全盤となる。

今作では、彼らにとって初となる外部プロデューサー、ホルヘ・エルブレヒト(Weyes Blood, Hatchieらを手がけた)を共同プロデューサーに迎え、これまで以上に緻密でエモーショナルな音像を獲得。自宅録音とスタジオセッションを組み合わせ、数十曲に及ぶデモから厳選した珠玉の楽曲群が並ぶ。

サウンドはマッドチェスターやドラムンベース、J・ディラの『Donuts』を想起させるようなビート感も交錯し、構築と崩壊が同時に進行するようなコラージュ的な緊張感に満ちている。

ハイライト楽曲

  • 「exo」:星空の下で交錯する諦めと執着。アルバムの幕開けにふさわしいエモーショナルな一曲。
  • 「starburn」:幻想的なギターが揺らめく、絶望と美しさの境界線を描いたナンバー。
  • 「oneshot」:ゲーム『メタルギアソリッド』のボス戦にインスパイアされた“毒のあるラブソング”。

ヴォーカル面では、モレルの芯のある歌声がリスナーを引き込み、ウィーザーやジェフ・バックリーを彷彿とさせるような圧倒的な存在感を放っている。一方のダーカンは、繊細な語り口で曲に陰影を与え、二人の掛け合いが楽曲に豊かな表情を与えている。

リリース情報

アーティスト:crushed
タイトル:no scope
発売日:2025年9月26日
レーベル:PLANCHA / Ghostly International
品番:ARTPL-242
フォーマット:CD
価格:2,200円(税抜)
※解説・歌詞・対訳付き、ボーナス・トラック(EP『extra life』)6曲収録

トラックリスト

  1. exo
  2. starburn
  3. cwtch
  4. heartcontainer
  5. oneshot
  6. airgap1
  7. meghan
  8. licorice
  9. silene
  10. weaponx
  11. celadon
  12. airgap2

Bonus Tracks (extra life)
13. waterlily
14. coil
15. milksugar
16. bedside
17. respawn
18. lorica


『no scope』は、デビュー作でありながら、まるで集大成のような奥行きを備えている。現代のオルタナティヴ・ポップの地平を切り拓く一枚として、2025年後半の必聴盤となるだろう。

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