「Could Heaven Ever Be Like This」に新たな息吹を──ランス・ファーガソン、時代を超えた名曲を再構築

2025年、ギタリスト/プロデューサーとしてエド・シーランのサポートも務めるランス・ファーガソンが、アイドリス・ムハマッドの名曲「Could Heaven Ever Be Like This」を鮮やかに蘇らせた。レーベル〈Tru Thoughts〉からリリースされたこの新曲は、1977年のクラシックに現代的なビートと音像を注ぎ込んだ、まさにネオ・レアグルーヴの金字塔である。

ランス・ファーガソンは、ニュージーランド出身、メルボルン拠点の音楽家。ザ・バンブース、メナジェリー、ラヌなど複数の名義で活躍してきた彼は、ソウル、ファンク、ジャズ、ラテンといったジャンルを縦横無尽に横断しながら、これまでにロイ・エアーズやアロー・ブラック、クアンティックらと共演。ギタリストとしてもエド・シーランやスライ・ジョンソン、ジョー・バターンといったレジェンドとのセッションを重ね、「オーストラリアのマーク・ロンソン」と評されるほどの多才ぶりを発揮してきた。

今回カバーされた「Could Heaven Ever Be Like This」は、ジェイミー・エックス・エックスやインコグニートなどもサンプリング/カバーしてきた、レアグルーヴの大定番。ファーガソンはこの名曲に対し、次のように語っている。

「これまでにも多くのカバーが出ていますが、それでもこの素晴らしい楽曲をRGS(Rare Groove Spectrum)のリストに加えたいという衝動を抑えられませんでした。今回は“4つ打ち”の疾走感を加え、パーカッションも厚めにしています。Phil Noyによるアルトサックス・ソロも、非常にキレのあるものになりました」

本作は単なるリメイクではない。原曲の持つスピリチュアルな高揚感を下敷きに、現代的なダンスグルーヴで再構築されたサウンドは、クラブからジャズバーまでを横断する洗練と熱を併せ持つ仕上がりである。

レーベル〈Tru Thoughts〉との関係も、今年で20年目を迎えるという。2000年代初頭、UK・ブライトンのクラブでDJをしていたランスは、レーベルのロブ・ルイスと出会い、その場でCD-Rを手渡すというアナログな方法で契約を勝ち取ったという。

「The BamboosとLanu、両方のプロジェクト音源を渡したところ、すぐに気に入ってくれて。あれがすべての始まりでした」

その後彼は、〈Freestyle〉レーベルから『Rare Groove Spectrum』シリーズを展開。ソウル、ジャズ、ファンクの知られざる名曲たちをライブバンドで再解釈するという手法で、新たなリスナーとの接点を生み出してきた。

「Could Heaven Ever Be Like This」は、そうしたキャリアの延長線上にある作品である。ジャンルや時代を越えて音楽を繋ぎ直すこと──それこそがランス・ファーガソンというアーティストの核なのだ。

📡 配信リンクLance Ferguson – Could Heaven Ever Be Like This

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