
現代電子音楽シーンにおいて確固たる存在感を放つプロデューサー/作曲家、ダニエル・エイヴリーが、通算6作目となるスタジオ・アルバム『Tremor』を2025年10月31日に〈Domino〉からリリースすることが決定した。これは彼にとって初の〈Domino〉からの作品であり、その音楽的射程の広さと深みをさらに押し広げた重要作といえる。
先行シングル「Rapture In Blue」が公開されるや否や、早くも高い評価を得ている本作は、シューゲイズの陶酔、テクノの深淵、アンビエントの余韻、そしてインダストリアルの衝動をすべて飲み込みながら、エイヴリー特有の音世界を濃密に描き出す。まさに、これまでの旅路のすべてが一点に結晶したようなアルバムである。
参加アーティスト陣も実に多彩である。ザ・キルズのアリソン・モシャート、クイックサンドのウォルター・シュレイフェルス、シューゲイズの新星bdrmm、気鋭のシンガー・ユールやセシル・ビリーヴ、さらにはNewDadのジュリー・ドーソンら、ジャンルや国境を越えた面々が名を連ねている。それぞれの個性は際立ちながらも、作品全体には“共同体的スピリット”が通底しており、その結びつきこそが『Tremor』の核心を成している。
「Rapture In Blue」では、セシル・ビリーヴの夢幻的なボーカルがスロウなブレイクビーツに乗り、ギターにはライド〜オアシスのアンディ・ベルが参加。アンビエントと轟音が交錯する音の浮遊感と重厚感は、映画のワンシーンのような没入感をもたらす。
アルバムの制作にあたり、エイヴリーはこう語る。「これは生きていて、呼吸している楽曲群なんだ。『Tremor』はまるで空に浮かぶスタジオだった。時間も空間も超えて、誰もが通り抜けられる場所だった」と。そして続けてこう述べる。「歪みの中の温もり、ノイズの中に見える美しさ、激しさの中にある静けさ。そういったすべてを内包したいと思った。レイヴ帰りの朝、ギターの残響に魅せられた人、あるいはこの旅に加わってみたいと思う人……誰でも歓迎だよ」
ミックスにはアラン・モウルダー(スマッシング・パンプキンズ、ナイン・インチ・ネイルズほか)、デヴィッド・レンチ(FKAツイッグス、フランク・オーシャンほか)という音響の巨匠たちが参加し、マスタリングはヘバ・カドリーが担当。細部まで研ぎ澄まされたサウンドの背後には、名匠たちの手腕が息づいている。
ダニエル・エイヴリーがたどり着いた、音のユートピア。その震えは、ジャンルの境界を越えて広がっていく。

アルバム情報
Daniel Avery『Tremor』
- リリース日:2025年10月31日
- レーベル:Beat Records / Domino
- フォーマット:CD(国内盤/輸入盤)、LP(限定盤/輸入盤)
TRACKLIST
01. Neon Pulse
02. Rapture in Blue w/ Cecile Believe
03. Haze w/ Ellie
04. A Silent Shadow w/ bdrmm
05. New Life w/ yune pinku
06. Greasy off the Racing Line w/ Alison Mosshart
07. Until the Moon Starts Shaking
08. The Ghost of Her Smile w/ Julie Dawson
09. Disturb Me w/ yeule
10. In Keeping (Soon We’ll Be Dust) w/ Walter Schreifels
11. Tremor
12. A Memory Wrapped in Paper and Smoke
13. I Feel You w/ Art School Girlfriend