
Ghostly Internationalが惚れ込み、いま注目を集めるドリーム・ポップ・デュオ、crushedが待望のデビュー・アルバム『no scope』を9月26日にリリースする。日本盤には、話題を呼んだEP『extra life』の全6曲をボーナス・トラックとして収録。ファン垂涎の完全盤となっている。
crushedは、Temple of Angels(Run For Cover Records)のフロントマン、ブリ・モレルと、Slumberland出身でWeekendの元メンバーにして、TopographiesやYoung Prismsなどのプロデュースも手がけるショーン・ダーカンによるユニット。テキサスとオレゴンに住む二人が、場所にとらわれない創作スタイルを取りながら、トリップホップ、ブリット・ポップ、エレクトロニカ、90年代USオルタナティヴなどを咀嚼し、新たなドリーム・ポップを紡ぎ出している。
前作『extra life』での好評を追い風に、Ghostly Internationalとの契約を果たした彼ら。本作では、日本でもおなじみのホルヘ・エルブレヒト(Japanese Breakfast、Hatchieなど)が共同プロデューサー兼ミキサーとして参加。セルフ・プロデュースを貫いてきた二人にとって、外部との本格的なタッグは初の試みであり、メロディと構成における新たな飛躍を遂げた。
アルバムには、彼らが自らの直感と感情に忠実であろうとする姿勢が滲む。ダンサブルでトランスライクなトラック「meghan」や「celadon」、沈み込むようなバラード「heartcontainer」「licorice」、実験的な音響のインタールード「airgap」など、多層的かつエモーショナルな全12曲を収録。さらに、J・ディラ『Donuts』を思わせるコラージュ的手法や、マッドチェスター〜ビッグビート〜アンビエントのサウンドも交錯し、ジャンルを超えた濃密な音響世界を築いている。
モレルのヴォーカルは、ジェフ・バックリーやハリエット・ウィーラーを彷彿とさせる力強さと繊細さを兼ね備え、バンドのアイデンティティを決定づける存在である。一方のダーカンは、柔らかな語り口で補完的なパートを担い、バランスの取れた楽曲構成に寄与している。
特に象徴的なのが「oneshot」という楽曲で、これはモレル自身が「メタルギアソリッドのボス戦で敗れ続けながら書いた毒のあるラブソング」と語る一曲。感情の極限を音に託すような表現力は、アルバム全体に漂う切実さとリンクしている。
このアルバムは、単なるデビュー作ではない。これまでの活動の集大成であり、現代のエモーションとポップネスを掛け合わせた、鮮烈な到達点である。人生のクロスヘアの上で揺れながら、ふたりがリアルタイムで放つこの作品は、2025年後半のインディー・シーンを代表する1枚となるだろう。

アルバム情報
crushed『no scope』
- アーティスト:crushed
- タイトル:no scope
- 発売日:2025年9月26日
- フォーマット:CD
- レーベル:PLANCHA / Ghostly International
- 品番:ARTPL-242
- 価格:2,200円+税
- 特典:解説・歌詞・対訳付き、日本盤ボーナストラック6曲(EP『extra life』)
収録曲:
- exo
- starburn
- cwtch
- heartcontainer
- oneshot
- airgap1
- meghan
- licorice
- silene
- weaponx
- celadon
- airgap2
Bonus Tracks from “extra life”
13. waterlily
14. coil
15. milksugar
16. bedside
17. respawn
18. lorica