ウータンの“シェフ”が帰還 ── レイクウォン、Nasやゴーストフェイス迎えた8年ぶりの新作を発表

ヒップホップ史に刻まれる伝説的グループ、ウータン・クランの一員にして、孤高のストーリーテラー、レイクウォンが帰ってきた。8年ぶり、通算8作目となるソロアルバム『The Emperor’s New Clothes』をリリース。同時に、リード曲「Bear Hill」のミュージックビデオも公開された。ビデオでは狼男へと変身する衝撃的な演出で、彼の物語性とヴィジュアルセンスの高さが改めて示されている。

1995年の名盤『Only Built 4 Cuban Linx…』でソロデビューを果たし、マフィアラップとストリート叙事詩の新たな境地を切り拓いたレイクウォンは、以後も一貫してヒップホップの芸術性を高めてきた存在である。シネマティックなリリック、冷静かつ熱い声のトーン、そして決して揺るがぬ存在感。彼の音楽は、世代や時代を越えてリスナーを魅了し続けている。

今回の新作には、まさに“キングス・アセンブル”とも言える豪華ゲスト陣が参加。ウータンからはメソッド・マン、ゴーストフェイス・キラー、インスペクター・デック。ラップ・アイコンのNas。さらにグリセルダの精鋭たち ── ウェストサイド・ガン、コンウェイ・ザ・マシン、ベニー・ザ・ブッチャー ── も名を連ね、R&Bシンガーのステイシー・バルシュ、マーシャ・アンブロージアスといったヴォーカリストも加勢している。まさに現在と過去、東海岸ヒップホップの粋を結集した一枚と言える。

プロデュース陣にも抜かりはない。スウィズ・ビーツ、ノッツ、ジャスティス・リーグ、フランクG.、RoadsArtと、硬派でありながら現代性も兼ね備えたビートメイカーが集結。レイクォン本人も「このアルバムはステートメントであり、ニューヨークのソウルの宣言だ」と語る。自身の進化と熟練を刻み込んだトラック群は、時代の空気を吸いながらも決して流されることはない。

また、本作はMass Appealによるレジェンドシリーズ『Legend Has It…』の一環として発表された作品でもある。同シリーズは、ヒップホップの歴史を今に伝えるプロジェクトであり、今回のレイクウォン作はその中でも特に骨太な一枚に仕上がっている。

なお、ウータン・クランはラン・ザ・ジュエルズと共に行った「Wu-Tang Forever: The Final Chamber」と題されたフェアウェル・ツアーを終えたばかり。その余韻も冷めやらぬ中でのこのソロ作の発表は、まさに“新たな衣をまとった皇帝”の凱旋である。

いま一度、レイクォンという名の文化的現象を体感すべきタイミングが来た。

■リリース情報
Raekwon『The Emperor’s New Clothes』
配信中
配信リンクはこちら
レーベル:Mass Appeal

トラックリスト:

  1. Intro
  2. Bear Hill
  3. Pomogranite
  4. Veterans Only Billionaire Rehab (SKIT)
  5. Wild Corsicans
  6. 1 Life
  7. Barber Shop Bullies (SKIT)
  8. Open Doors
  9. 600 School
  10. The Guy That Plans It
  11. Da Heavies
  12. Officer Full Beard (SKIT)
  13. The Omerta
  14. Get Outta Here
  15. The Sober Dose Gift (SKIT)
  16. Debra Night Wine
  17. Mac & Lobster

■MV:Raekwon「Bear Hill」
https://www.youtube.com/watch?v=BKKuJXZ-nxc

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