
反復とポリリズム、そして破格のインストゥルメンタル表現で知られるホース・ローズ。その中核を担うマックス・アイルバッハーとオーウェン・ガードナーのソロ・パフォーマンスが、2025年7月26日(土)に落合Soupにて急遽開催されることが決定した。
ホース・ローズは、ポストロック、プログレッシブ・ロック、フリー・ジャズといったジャンルを縦横無尽に行き来しながら、戦略的なリズム構築と微分音的アプローチをもって、現代音楽の最前線を疾走する4人組バンドである。2022年には、名門RVNG Intl.より通算5作目となるアルバム『Comradely Objects』を発表。音楽的にもコンセプチュアルにも深化したその作品は、評論家筋から高い評価を受けた。

今回のイベントには、アイルバッハーとガードナーのソロに加え、ソウルのHeejin Jang、東京拠点のpeeq、Chiho Oka、Naoki Nomotoらが出演。DJにはManabe、フードはCurrytronicaが参加し、音と味覚が交差する濃密な一夜となることが予想される。

イベント詳細
日程:2025年7月26日(土)
時間:OPEN / START 17:00
会場:落合Soup
料金:3,500円+1ドリンクオーダー
出演:
Max Eilbacher(from Berlin)
Owen Gardner(from Berlin)
Heejin Jang(from Seoul)
peeq
Chiho Oka
Naoki Nomoto
DJ:Manabe
Food:Currytronica
『Comradely Objects』──現代音楽と社会的理念の交差点
ホース・ローズの最新作『Comradely Objects』は、複雑な対位法とマントラ的反復、アナログ/デジタルを横断する音色設計によって、彼らの創造性と政治的意志が見事に結晶化された一枚である。パンデミック下でのツアー中止を機に、メンバーはボルチモアのスタジオに籠り、即興性ではなく構築性に重きを置いた制作体制へと移行。その結果、これまで以上に研ぎ澄まされた音響建築が誕生した。
アルバムのタイトルは、ロシア構成主義に関する美術史研究書『Imagine No Possessions』(Christina Kiaer, 2008)に由来する。資本主義的な芸術の「所有」や「装飾」から離れ、集団性や機能性を重んじる思想と響き合うその姿勢は、まさにHorse Lordsの音楽観に通底するものでもある。
また、本作の収益の一部は、アメリカ中部大西洋地域で移民支援を行う団体「CASA」に寄付されることがアナウンスされている。音楽という枠を超えた社会的実践としての姿勢も、彼らの重要な表現のひとつである。
Horse Lords – “Comradely Objects”
Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Format: CD / Digital(日本独自CD化、解説:天井潤之介)
発売日:2022年11月4日
価格:2,200円+税
Tracklist:
01. Zero Degree Machine
02. Mess Mend
03. May Brigade
04. Solidarity Avenue
05. Law of Movement
06. Rundling
07. Plain Hunt on Four
ソロ・パフォーマンスという稀少な形での来日となる今回のイベントは、ホース・ローズという集合体を構成する一人一人の感性にフォーカスする、またとない機会である。先鋭的な音楽に触れたいリスナーにとって、見逃せない夜となることは間違いない。