サンバで辿る「どこにも行けない道」── ロジェによるトーキング・ヘッズ再解釈「Road to Nowhere」リリース

ブラジル出身のシンガー・ソングライター、ロジェによる新シングル「Road to Nowhere」が、7月15日にBBE Musicよりデジタル配信された。本作は、10月にリリース予定のトーキング・ヘッズのトリビュート・アルバム『Naive Melodies』からの第一弾シングルである。

デヴィッド・バーン率いるトーキング・ヘッズが1985年に発表した「Road to Nowhere」は、カルト的な人気を誇る名曲である。その象徴的な作品に、ロジェは自身のルーツであるアフロ・ブラジリアン音楽のエッセンスを注ぎ込み、ソウルフルでスウィング感に満ちたサンバ・ジャムへと生まれ変わらせた。

プロデュースを手がけたのは、エイミー・ワインハウスやマーク・ロンソンなどの作品で知られるトミー・ブレンネック。クラシックなMPB(ムジカ・ポピュラー・ブラジレイラ)や1970年代のサンバ・ロックを彷彿とさせるアナログな質感を活かしながら、楽曲に内在する実存的なメッセージをやわらかく包み込んでいる。

ロジェは、これまでラテン・グラミー賞にノミネートされるなど、ブラジル音楽界で確固たる地位を築いてきたアーティストである。現在はロサンゼルスを拠点に活動し、長年にわたりリオのサンバ・ソウル・シーンを牽引してきた存在だ。今回のカバーでは、アーシーなギター、切れ味のあるパーカッション、そしてスモーキーな歌声が交差し、まさにロジェならではの「Saudade(郷愁)」と「Sway(揺らぎ)」が融合した1曲に仕上がっている。

『Naive Melodies』は、BBEがかつて手がけたデヴィッド・ボウイのトリビュート作『Modern Love』のクリエイティブ・ディレクター、ドリュー・マクファデンが監修を担当。本作では、サンバ、ソウル、ファンク、ダブ、ジャズといったブラック・ディアスポラ音楽を通じて、トーキング・ヘッズの音楽遺産を再構築するという挑戦的な試みがなされている。ロジェの「Road to Nowhere」は、そのコンセプトを象徴する楽曲といえるだろう。

現在ロジェはヨーロッパツアーを敢行中であり、各地で観客を魅了している。ブラジル音楽の進化形とトーキング・ヘッズの世界観が交わるこの1曲を、ぜひチェックしていただきたい。

リリース情報

タイトル:Road to Nowhere
アーティスト:Rogê
発売日:2025年7月15日
レーベル:BBE Music
ジャンル:Jazz/Brazilian Jazz
フォーマット:デジタル配信
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